バレンタインデーにふさわしい、春の陽気に包まれた2月14日(日)。「ザ・ブラス・ワンダース」公演を開催しました。

「ザ・ブラス・ワンダース」とは、NHK交響楽団首席トランペット奏者・菊本和昭氏の呼びかけで都内プロ・オーケストラ等で活躍する12名のトップ奏者たちが集結し、12名="1(ワン)ダース"と"ワンダフル"をかけてネーミングされた、最強の金管アンサンブル。これがデビュー公演となりました。

さらに、プログラムもスペシャル!吹奏楽の名曲《たなばた》や《大仏と鹿》《森の贈り物》で有名な作曲家・酒井格氏が、この日のために書き下ろした新曲2曲を含む、オール酒井作品のプログラムでした。とくに新曲については、すなわち世界初演であり、会場のお客様は歴史の証人ともなったわけです。

金管楽器のトップ奏者たちが、名曲の作曲家の作品を演奏するという夢のようなコンサートとあって、会場には楽器を持った学生さんたちがたくさん訪れ、開演前から期待とエネルギーが漂い、賑やかな雰囲気でした。

 

まずはコンサートの幕開けを彩るファンファーレから。今回演奏されたのは、新作初演の《グランド・ファンファーレ》。圧巻の十二重奏のアンサンブルで、洗いたての糊のきいたシャツのように清々しいファンファーレが気持ちよく鳴り響きました。

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プログラム前半は、各楽器の特徴と魅力を味わえる、とりどりの四重奏から。

まずは、トロンボーン四重奏による《季節の律動》。春風にそよぐような、軽やかな大人のスウィング・ワルツに心も躍りました。

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続いて、トランペット四重奏。〈食いしん坊のマーチ〉と〈食べ過ぎた後悔〉の2曲から成る新曲《異調宴》(いちょうえん)が初演されました。冗談めいたタイトルとは裏腹に、なんと調性の異なるトランペット4管(E♭・D・C・B♭)の倍音のみで書かれた、論理的で実験的な作品なのです!そしてまた、そのメロディーが頭から離れない...!大変よく効くクスリです。

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そして、ユーフォニアムとテューバ各2管=「バリテューバ四重奏」による《フルーツ組曲》。愛媛(オレンジ・プレリュード)を出発して、岡山(ピーチ・マーチ)→山梨(グレープ・ワルツ)→青森(アップル・エクスプレス)を旅する洒落た構成で、メロディーやハーモニーがとてもロマンティックな作品です。さらに、この4人のバリテューバ四重奏だからこそあふれる、安心感と包容力にうっとり。甘いひとときに酔いしれました。

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前半最後は八重奏。《空色のアクア》という既存の作品ですが、今回は「トランペット&トロンボーン八重奏版」で、より一層広大な風景が感じられるようでした。

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こうして、前半は、酒井格氏のオリジナル作品を堪能。いよいよ、プログラムは後半へ。

 

とその前に、会場に足を運んでくださった酒井さんご本人登場。菊本さんとのトークで、演奏を聴いての感想や作品のエピソードをお聞かせくださいました。

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さて、後半のプログラムは、大注目のムソルグスキーの名曲《展覧会の絵》です。もともとはピアノ曲で、オーケストラ版も有名なこの作品は、吹奏楽でもよく演奏されますが、今回はそれを金管楽器12本だけでこなすという、編曲も演奏も前代未聞の挑戦です。構成はラヴェルの編曲版に倣いながらも、吹奏楽を知り尽くす酒井氏の手にかかると、各管楽器の性格や特徴を最大限に活かしながら、ときに意表を突くような組み合わせもされていたり、「悔しいけどピアノやオーケストラではできないな~」と思わされるような、金管楽器にしかできない味付けが随所になされていました。

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そして、奏者各人の超絶技巧はもちろん、ひとりで吹いているように流れる細かいパッセージの受け渡し、美しく溶け合うハーモニーなどなど、最後までプロの妙技が炸裂!とぼけた雰囲気がよく表された〈卵の殻をつけたひなどりのバレー〉、テクニカルな〈リモージュ〉、重厚で荘厳な〈カタコンブ〉や〈キエフの大門〉などなど、どれひとつとして聴き逃せませんでした。

ちなみに、トランペットを吹く人なら一度は吹いてみたいであろう、冒頭のあの有名な旋律。酒井編/金管十二重奏版では、"あの"楽器から始まります...(気になる方は、オンライン配信で!)

 

35分に及ぶこの難曲を、12人の輝ける男たちが全集中で吹き切り、堂々たる響きが会場と観客の心を満たしました。

鳴りやまない拍手に応え、カーテンコールの最後には、菊本さんが今回の楽器とメンバーを示して「"前向き"に(トランペット&トロンボーン)"上向き"に(ユーフォニアム&テューバ)、いろんなことに負けずに頑張っていきましょう!」という名言を贈ってくださいました。

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★本公演はオンライン配信でもお楽しみいただけます★

会場にお越しいただけなかった方はもちろん、ご来場くださった方も映像ならではの視点でお楽しみいただけますので、吹奏楽を知り尽くした酒井格の美しくもユーモアあふれる作品と、百戦錬磨の屈強なプロフェッショナルたちの華麗なテクニックとアンサンブルを、ぜひオンライン配信でお確かめください!!

 

●配信期間 2/28(日)10:00~3/13(土)19:00

●オンライン鑑賞券 1,000円

 3/10(水)23:59まで「TIGET(チゲット)」 にて販売中。

 https://www.tiget.net/tours/brasswonders

 

公演写真:藤本史昭

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開館時間: 9:00 ~ 22:00
受付時間: 9:00 ~ 19:00
休館日: 毎月第2火曜日および第3火曜日(祝日の場合はその直後の平日) / 年末年始 / 保守点検日
イベントレポート
【ホールの響きシリーズ】ザ・ブラス・ワンダース
21. 02. 27

バレンタインデーにふさわしい、春の陽気に包まれた2月14日(日)。「ザ・ブラス・ワンダース」公演を開催しました。

「ザ・ブラス・ワンダース」とは、NHK交響楽団首席トランペット奏者・菊本和昭氏の呼びかけで都内プロ・オーケストラ等で活躍する12名のトップ奏者たちが集結し、12名="1(ワン)ダース"と"ワンダフル"をかけてネーミングされた、最強の金管アンサンブル。これがデビュー公演となりました。

さらに、プログラムもスペシャル!吹奏楽の名曲《たなばた》や《大仏と鹿》《森の贈り物》で有名な作曲家・酒井格氏が、この日のために書き下ろした新曲2曲を含む、オール酒井作品のプログラムでした。とくに新曲については、すなわち世界初演であり、会場のお客様は歴史の証人ともなったわけです。

金管楽器のトップ奏者たちが、名曲の作曲家の作品を演奏するという夢のようなコンサートとあって、会場には楽器を持った学生さんたちがたくさん訪れ、開演前から期待とエネルギーが漂い、賑やかな雰囲気でした。

 

まずはコンサートの幕開けを彩るファンファーレから。今回演奏されたのは、新作初演の《グランド・ファンファーレ》。圧巻の十二重奏のアンサンブルで、洗いたての糊のきいたシャツのように清々しいファンファーレが気持ちよく鳴り響きました。

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プログラム前半は、各楽器の特徴と魅力を味わえる、とりどりの四重奏から。

まずは、トロンボーン四重奏による《季節の律動》。春風にそよぐような、軽やかな大人のスウィング・ワルツに心も躍りました。

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続いて、トランペット四重奏。〈食いしん坊のマーチ〉と〈食べ過ぎた後悔〉の2曲から成る新曲《異調宴》(いちょうえん)が初演されました。冗談めいたタイトルとは裏腹に、なんと調性の異なるトランペット4管(E♭・D・C・B♭)の倍音のみで書かれた、論理的で実験的な作品なのです!そしてまた、そのメロディーが頭から離れない...!大変よく効くクスリです。

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そして、ユーフォニアムとテューバ各2管=「バリテューバ四重奏」による《フルーツ組曲》。愛媛(オレンジ・プレリュード)を出発して、岡山(ピーチ・マーチ)→山梨(グレープ・ワルツ)→青森(アップル・エクスプレス)を旅する洒落た構成で、メロディーやハーモニーがとてもロマンティックな作品です。さらに、この4人のバリテューバ四重奏だからこそあふれる、安心感と包容力にうっとり。甘いひとときに酔いしれました。

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前半最後は八重奏。《空色のアクア》という既存の作品ですが、今回は「トランペット&トロンボーン八重奏版」で、より一層広大な風景が感じられるようでした。

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こうして、前半は、酒井格氏のオリジナル作品を堪能。いよいよ、プログラムは後半へ。

 

とその前に、会場に足を運んでくださった酒井さんご本人登場。菊本さんとのトークで、演奏を聴いての感想や作品のエピソードをお聞かせくださいました。

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さて、後半のプログラムは、大注目のムソルグスキーの名曲《展覧会の絵》です。もともとはピアノ曲で、オーケストラ版も有名なこの作品は、吹奏楽でもよく演奏されますが、今回はそれを金管楽器12本だけでこなすという、編曲も演奏も前代未聞の挑戦です。構成はラヴェルの編曲版に倣いながらも、吹奏楽を知り尽くす酒井氏の手にかかると、各管楽器の性格や特徴を最大限に活かしながら、ときに意表を突くような組み合わせもされていたり、「悔しいけどピアノやオーケストラではできないな~」と思わされるような、金管楽器にしかできない味付けが随所になされていました。

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そして、奏者各人の超絶技巧はもちろん、ひとりで吹いているように流れる細かいパッセージの受け渡し、美しく溶け合うハーモニーなどなど、最後までプロの妙技が炸裂!とぼけた雰囲気がよく表された〈卵の殻をつけたひなどりのバレー〉、テクニカルな〈リモージュ〉、重厚で荘厳な〈カタコンブ〉や〈キエフの大門〉などなど、どれひとつとして聴き逃せませんでした。

ちなみに、トランペットを吹く人なら一度は吹いてみたいであろう、冒頭のあの有名な旋律。酒井編/金管十二重奏版では、"あの"楽器から始まります...(気になる方は、オンライン配信で!)

 

35分に及ぶこの難曲を、12人の輝ける男たちが全集中で吹き切り、堂々たる響きが会場と観客の心を満たしました。

鳴りやまない拍手に応え、カーテンコールの最後には、菊本さんが今回の楽器とメンバーを示して「"前向き"に(トランペット&トロンボーン)"上向き"に(ユーフォニアム&テューバ)、いろんなことに負けずに頑張っていきましょう!」という名言を贈ってくださいました。

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★本公演はオンライン配信でもお楽しみいただけます★

会場にお越しいただけなかった方はもちろん、ご来場くださった方も映像ならではの視点でお楽しみいただけますので、吹奏楽を知り尽くした酒井格の美しくもユーモアあふれる作品と、百戦錬磨の屈強なプロフェッショナルたちの華麗なテクニックとアンサンブルを、ぜひオンライン配信でお確かめください!!

 

●配信期間 2/28(日)10:00~3/13(土)19:00

●オンライン鑑賞券 1,000円

 3/10(水)23:59まで「TIGET(チゲット)」 にて販売中。

 https://www.tiget.net/tours/brasswonders

 

公演写真:藤本史昭