1/22(火)に、友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベント「時代考証のプロが語る!落語にみる江戸のくらし リターンズ!」を、当館小ホールにて開催しました。

 江戸時代から伝わる大衆芸能の落語を聞きつつ、時代考証のプロが噺に描かれている江戸のくらしの“ホント”に迫るこの企画。2017年に開催し、お客さまと出演者から寄せられた「ぜひ第2弾を!」との熱い声にお応えしての“リターンズ!”です。

 まずは、「御慶(ぎょけい)」という正月を題材にした落語のネタによせて、東京学芸大学教授、日本時代考証学会会長の大石学先生より、江戸の年末年始についてのお話。

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すす払い、新暦配布、芝居の千秋楽、浅草寺や神田明神の市、年忘れの宴、売初に向けての仕入れ、餅つきなどで賑わう暮れの風景を、文献をもとに紹介。正月は、夜中の0時ではなく、明け方の鶏の一声をもって始まり、新しい桶で若水を汲むことが事始めであるという、今とは異なる考え方や、お屠蘇やお雑煮、松飾や凧あげ、羽つき遊びといった今も残る風習など、平成最後の年末年始を過ごしたばかりのタイミングに興味深い話が盛りだくさんでした。

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続いて、農工大学落語研究会出身の女流落語家、立川こはるさんによる落語「御慶」。

富くじに狂じている八五郎が、ついに一攫千金、裃袴で長屋中をやたら「ギョケイ、ギョケイッ!」と、新年の挨拶をして回るという噺。大石先生のお話によって、より鮮明に江戸の年末年始の情景が目に浮かんだところで、こはるさんの活き活き、はつらつとした熱演を楽しみました。「早く一張羅で挨拶周りに行きたいけど鶏が鳴くまで待つ」というくだりでは、思わずひざを打つ方も。

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後半は、落語「棒鱈(ぼうだら)」からスタート。

料理屋を舞台にした、田舎侍と江戸っ子のケンカの噺。こはるさんの小気味良いべらんめい調が炸裂。スピード感溢れるパフォーマンスに、笑い声が絶えませんでした。

 続いて、その登場人物「田舎侍」と「江戸っ子」について、大石先生のお話。現代のように交通網や情報網が発達していなかった江戸時代は、参勤交代によって、物や文化の行き来がありました。そのため、江戸で流行した最先端ファッションが地方に伝わり、それを“粋”だと思って身に着けて江戸に戻る頃には、流行遅れ=“野暮”になっているという時差も。「なるほど~!」という話の連続に、熱心にメモを取っている方もたくさんいらっしゃいました。

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最後はお二人の対談。小金井の地元ネタや、興味が尽きないお互いの分野についての話題で大盛り上がりのうちに終了しました。大石先生の「われわれの先祖の暮らしぶりは、歴史の教科書からだけでは見えてこない。落語や文学から学ぶことがたくさんある」という言葉が印象的でした。

 今後の友の会こがねいメンバーズ限定イベントも、どうぞお楽しみに!

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〒184-0004
東京都小金井市本町6-14-45
TEL: 042-380-8077
FAX: 042-380-8078

開館時間: 9:00 ~ 22:00
受付時間: 9:00 ~ 19:00
休館日: 毎月第2火曜日および第3火曜日(祝日の場合はその直後の平日) / 年末年始 / 保守点検日
【友の会イベントレポート】
時代考証のプロが語る! 落語にみる江戸のくらし リターンズ!
19. 01. 28

1/22(火)に、友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベント「時代考証のプロが語る!落語にみる江戸のくらし リターンズ!」を、当館小ホールにて開催しました。

 江戸時代から伝わる大衆芸能の落語を聞きつつ、時代考証のプロが噺に描かれている江戸のくらしの“ホント”に迫るこの企画。2017年に開催し、お客さまと出演者から寄せられた「ぜひ第2弾を!」との熱い声にお応えしての“リターンズ!”です。

 まずは、「御慶(ぎょけい)」という正月を題材にした落語のネタによせて、東京学芸大学教授、日本時代考証学会会長の大石学先生より、江戸の年末年始についてのお話。

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すす払い、新暦配布、芝居の千秋楽、浅草寺や神田明神の市、年忘れの宴、売初に向けての仕入れ、餅つきなどで賑わう暮れの風景を、文献をもとに紹介。正月は、夜中の0時ではなく、明け方の鶏の一声をもって始まり、新しい桶で若水を汲むことが事始めであるという、今とは異なる考え方や、お屠蘇やお雑煮、松飾や凧あげ、羽つき遊びといった今も残る風習など、平成最後の年末年始を過ごしたばかりのタイミングに興味深い話が盛りだくさんでした。

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続いて、農工大学落語研究会出身の女流落語家、立川こはるさんによる落語「御慶」。

富くじに狂じている八五郎が、ついに一攫千金、裃袴で長屋中をやたら「ギョケイ、ギョケイッ!」と、新年の挨拶をして回るという噺。大石先生のお話によって、より鮮明に江戸の年末年始の情景が目に浮かんだところで、こはるさんの活き活き、はつらつとした熱演を楽しみました。「早く一張羅で挨拶周りに行きたいけど鶏が鳴くまで待つ」というくだりでは、思わずひざを打つ方も。

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後半は、落語「棒鱈(ぼうだら)」からスタート。

料理屋を舞台にした、田舎侍と江戸っ子のケンカの噺。こはるさんの小気味良いべらんめい調が炸裂。スピード感溢れるパフォーマンスに、笑い声が絶えませんでした。

 続いて、その登場人物「田舎侍」と「江戸っ子」について、大石先生のお話。現代のように交通網や情報網が発達していなかった江戸時代は、参勤交代によって、物や文化の行き来がありました。そのため、江戸で流行した最先端ファッションが地方に伝わり、それを“粋”だと思って身に着けて江戸に戻る頃には、流行遅れ=“野暮”になっているという時差も。「なるほど~!」という話の連続に、熱心にメモを取っている方もたくさんいらっしゃいました。

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最後はお二人の対談。小金井の地元ネタや、興味が尽きないお互いの分野についての話題で大盛り上がりのうちに終了しました。大石先生の「われわれの先祖の暮らしぶりは、歴史の教科書からだけでは見えてこない。落語や文学から学ぶことがたくさんある」という言葉が印象的でした。

 今後の友の会こがねいメンバーズ限定イベントも、どうぞお楽しみに!