今回の友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベントは、「チェロのしごと」と題し、小金井ゆかりのチェロ奏者、阪田宏彰さんと小川和久さんがチェロについてとことん深堀りする企画をお届けしました。

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まずは、ヴィヴァルディの「2台のチェロのための協奏曲 ト短調」の演奏からスタート。端正で美しいザ・クラシックなコンサートの幕開け...かと思いきや、阪田さんによる、ユニークなうんちくトークが始まりました。

前半は「オーケストラでのしごと」「室内楽でのしごと」「ソロ楽器としてのしごと」という編成による違いについて、小川和久さん(チェロ)と斎藤 龍さん(ピアノ)との演奏を交えながら解説。淡々とした口調ながらもユーモアにあふれたトークに、時折ドッと会場が沸きました。

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中でも「オーケストラでのしごと」部分では、弦楽器群が数多くいるワケ、芯になる音を弾く人と楽器の共鳴を計算しながら弾く人による協働で生じる効果、正しく弾くことが困難なほど速いトレモロで時には効果音的な役割も果たすなど、興味深い職人的なしごとの数々を紹介。「ここだけの裏話」も盛り込まれ、今後オーケストラを聴くときの楽しみがぐんと増える内容でした。

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「室内楽のしごと」部分では、ボロディンやシューマンの甘く美しい旋律を奏でたと思えば、ショスタコーヴィチの曲で人工フラジオという緊迫感に満ちた超絶技巧を披露。「ソロ楽器としてのしごと」部分では、J.S.バッハの同じ曲で正統派ドイツ語版の弾き方とスペイン語版の弾き比べを行うなど、他ではなかなか聴けない演奏が次々に繰り広げられました。

IMG_9404.JPGIMG_9398.JPG

後半は、「時代やジャンルによる弾き方の違い」について。

古楽のノンヴィブラート奏法や通奏低音に始まり、チェロといえばこの曲サン=サーンスの「白鳥」や、それに対して書かれたというヴィラ=ロボスの「黒鳥」、情感たっぷりに歌い上げるピアソラのタンゴ、ギターのような特殊なピチカートやチョップ奏法を用いたジャズやラグタイムなど、解説を挟みながら、多彩な演奏を披露。

圧巻だったのは、ディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」。ロックは電子楽器のようなノイズを生み出すために圧をかけ続ける力仕事だということがよくわかる熱演でした。最後はビートルズメドレーとアンコールの蘇州夜曲で終演しました。

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チェリスト2人のチェロに対する愛と飽くなき探求心を通じて、編成や時代、ジャンルを超越して〝良いしごと″をするチェロという楽器の奥深さに魅せられた貴重な時間となりました。

今後の友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベントも、みなさまの興味関心が広がるような企画をご用意していきますので、どうぞお楽しみに。

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[出演](写真左から) 
・小川和久(チェロ) 
・斎藤 龍(ピアノ)
・阪田宏彰(チェロ)

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友の会イベントレポート
「チェロのしごと」
21. 03. 31

今回の友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベントは、「チェロのしごと」と題し、小金井ゆかりのチェロ奏者、阪田宏彰さんと小川和久さんがチェロについてとことん深堀りする企画をお届けしました。

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まずは、ヴィヴァルディの「2台のチェロのための協奏曲 ト短調」の演奏からスタート。端正で美しいザ・クラシックなコンサートの幕開け...かと思いきや、阪田さんによる、ユニークなうんちくトークが始まりました。

前半は「オーケストラでのしごと」「室内楽でのしごと」「ソロ楽器としてのしごと」という編成による違いについて、小川和久さん(チェロ)と斎藤 龍さん(ピアノ)との演奏を交えながら解説。淡々とした口調ながらもユーモアにあふれたトークに、時折ドッと会場が沸きました。

IMG_9374.JPGIMG_9383.JPG

中でも「オーケストラでのしごと」部分では、弦楽器群が数多くいるワケ、芯になる音を弾く人と楽器の共鳴を計算しながら弾く人による協働で生じる効果、正しく弾くことが困難なほど速いトレモロで時には効果音的な役割も果たすなど、興味深い職人的なしごとの数々を紹介。「ここだけの裏話」も盛り込まれ、今後オーケストラを聴くときの楽しみがぐんと増える内容でした。

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「室内楽のしごと」部分では、ボロディンやシューマンの甘く美しい旋律を奏でたと思えば、ショスタコーヴィチの曲で人工フラジオという緊迫感に満ちた超絶技巧を披露。「ソロ楽器としてのしごと」部分では、J.S.バッハの同じ曲で正統派ドイツ語版の弾き方とスペイン語版の弾き比べを行うなど、他ではなかなか聴けない演奏が次々に繰り広げられました。

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後半は、「時代やジャンルによる弾き方の違い」について。

古楽のノンヴィブラート奏法や通奏低音に始まり、チェロといえばこの曲サン=サーンスの「白鳥」や、それに対して書かれたというヴィラ=ロボスの「黒鳥」、情感たっぷりに歌い上げるピアソラのタンゴ、ギターのような特殊なピチカートやチョップ奏法を用いたジャズやラグタイムなど、解説を挟みながら、多彩な演奏を披露。

圧巻だったのは、ディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」。ロックは電子楽器のようなノイズを生み出すために圧をかけ続ける力仕事だということがよくわかる熱演でした。最後はビートルズメドレーとアンコールの蘇州夜曲で終演しました。

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チェリスト2人のチェロに対する愛と飽くなき探求心を通じて、編成や時代、ジャンルを超越して〝良いしごと″をするチェロという楽器の奥深さに魅せられた貴重な時間となりました。

今後の友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベントも、みなさまの興味関心が広がるような企画をご用意していきますので、どうぞお楽しみに。

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[出演](写真左から) 
・小川和久(チェロ) 
・斎藤 龍(ピアノ)
・阪田宏彰(チェロ)