12月6日(日)当館主催では初となる能楽の公演を、小金井市が誇る能楽師、津村禮次郎プロデュースにより開催しました。

「能ってなんか難しそう・・」と敬遠してきた方にこそ足を運んでもらいたい、能の楽しさをお伝えしたい!と、冒頭にミニ能楽講座を設けました。

能・狂言の歴史、今回のあらすじや見せ場となる場面での小道具の役割、謡(うたい)の解釈などを解説し、これから始まる古典芸能の世界へと期待が高まります。

report2.jpg report3.jpg

能楽では、能と狂言がセットで上演されます。解説の後は、まずは狂言師・野村万蔵さん、野村万之丞さん、野村晶人さんが登場。棒に縛られながらも、何とかして酒を飲もうとするコミカルな狂言『棒縛(ぼうしばり)』を披露しました。

狂言ならではのリズムある言い回し、大胆でありつつ細やかな表情や美しく可笑しみのある所作に、客席からは笑いがこぼれます。

report4.jpg report5.jpg

report6.jpg

後半は、能『葵上』です。

源氏物語の「夕顔」、「葵」の巻を大胆に能に作りこんだ代表的な作品で、最も人気がある能の演目の一つ。演目名にもなっている「葵上」は人物としては登場せず、舞台中央に置かれた美しい小袖が病に伏せる葵上を表します。

光源氏を廻る女性の中でも、深く光源氏に心を寄せていた六条御息所。嫉妬心に苛まれ、葵上のために巫女が祈祷を始めると、生き霊となり葵上を幽界へと連れ去ろうとします。

ここで用いられているのは「泥眼(でいがん)」と呼ばれる能面。髪が乱れているのも多く、嫉妬に苦しむ女性やこの世のものではないものをあらわす虚ろな目が特徴です。

どことなく漂う薄気味悪さ。客席にも少し緊張が走ります。

report9.jpg report10.jpg

そして、怨霊を鎮めるために比叡山からの横川の行者が祈りを捧げ始めると、怨霊は真の鬼と化します。

激しい憎しみと妖艶さを表す真っ赤な袴、恐ろしい形相の「般若(はんにゃ)」の能面をつけて舞台上へあらわれます。

report11.jpg report14.jpg

行者を激しく威嚇する鬼、いさめようとする行者。お囃子や謡も大きくなり、両者の争いもピークに!

凄まじい争いの末、六条御息所は遂に仏の心を得たとして一曲を結び、舞台上には静寂が訪れるのでした。

report15.jpg report16.jpg

ご来場いただいた方からは、「初めてだったけど解説があったので楽しめた」「幽玄の世界を堪能した」などのお声をいただき、普段のホールとはまた違った舞台の魅力を感じていただけました。

こちらのブログを読んでくださっている方に特別に、今回の舞台裏を少しだけ公開!

能の舞台には所作台(しょさだい)と呼ばれる特別な舞台を設置します。所作台は、足袋でのみ歩くことが許されるとても神聖な場所。舞台スタッフも皆足袋を履き、橋掛かりの位置や背景の竹の長さなどを入念にチェックします。

butai_1.jpg

能の舞台上では、場面に合わせて衣装の早着替えが必要です。そのため、舞台袖には鏡などが設置され、小さな楽屋に変身。後見(こうけん)と呼ばれるお支度を整える役割の人が、能面をつけるとほぼ前が見えないシテ方を舞台上へ送り出し、手際よく着替えさせるその鮮やかな仕事ぶりに、初めて能の舞台裏を体験した担当は感動しました。

また、背景に使われた竹の装飾は、前夜に小金井市内の造園の職人さんが舞台上で竹を割って手作りした一点もの!ライトアップされた竹の装飾は、今回の舞台の世界観を表していてとても素敵でした。

butai_2.jpg

ご来場いただいた方、ブログをお読みいただいた方、どうもありがとうございました!

公演写真:藤本史昭

例年、市内各校の小学6年生が合同で行っている校外学習「オーケストラ鑑賞教室」が中止になったことから、その代替企画として、当館大ホールでミニコンサートを実施しました。
通常は希望された学校へ出張して行っている「まちかどコンサート」をホールに児童と先生をお招きする形で開催。10月~12月にかけて、市内6校の6年生がそれぞれ来館されました。

main.JPG

演奏は「こがねいガラ・オーケストラ」メンバーで構成された室内楽ユニット「ムジカこがねい」。

開演前、ホールという空間に緊張気味だった児童たちは、舞台袖からチューニングの音が聞こえると、にわかにドキドキソワソワ・・・
フチークの「剣闘士の入場」からコンサートが始まると、次第にリラックス。徐々に音楽に引き込まれていきました。

メンバーがヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、オーボエ、イングリッシュホルンの楽器紹介などのお話しを交えながら、ヴィヴァルディの『四季』より「春」、アンダーソンの「プリンク・プレンク・プランク」、ドヴォルザークの「家路」と、聴きなじみのあるクラシックの小品を演奏。

21.JPG22.JPG23.JPG

31.JPG32.JPG33.JPG

また、作曲家をイラストパネルで見せながら楽曲紹介をする「作曲家メドレー」と、ヴァイオリンの奥村さんのナビゲートで、タンゴ、フォークダンス、ジャズ、ルンバ、ソーラン節、といろいろな国のリズムや曲想を堪能できる「世界音楽旅行」という、趣向を凝らしたメドレー2曲をお送りしました。

41.JPG42.JPG


熱心にメモをとっている子、リラックスして響きを堪能している子、それぞれのスタイルで楽しそうに鑑賞していました。

後日いただいたお手紙には、「5人だけだったのにすごいきれいな音色だったので、大勢のオーケストラになるとどんな感じなのか、もっと気になりました。家族で聞きに行ってみたいです」「コロナでいろいろな行事ができなくなって、しずんでいた心が、音楽を聞けて明るくなりました」「自分にはない力がこの人たち(ムジカこがねい)の体の中にあるとずっとかんじていました。えんそうする力、あきらめずにプロまでがんばった力がとくにつたわってきました」など、嬉しい感想がたくさん書かれていました。

「今度は僕たちの学校にも来てください。そのときは、マスクをはずして笑顔で迎えられたらいいなと思います」と書いてくれた子も。

私たちもまた、様々な形で、みなさんにアートを届けられる機会を作りたいと思っています。
来年度のまちかどコンサートもお楽しみに!

member.JPG

[出演] ムジカこがねい
[メンバー]写真左から
・杉本真木(オーボエ)
・奥村 愛(ヴァイオリン)
・阪田宏彰(チェロ)
・今井香奈(ヴァイオリン)
・金 孝珍(ヴィオラ)

今回の友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベントは、「知って楽しむ世界の音楽~祈りの島のガムラン~」と題し、インドネシア・バリ島のガムラン音楽のレクチャーコンサートを実施。
「知って楽しむ世界の音楽」シリーズとしては、「魅惑のアルゼンチンタンゴ」「幻の古楽器『バリトン』」に続き3本目となります。

6月に予定していた公演を12月に延期、感染症対策のため、会場を小ホールから大ホールへ移しての開催となりました。

レポートメイン.JPG

まずは荒内琴江さん、近藤友麻さんによる舞とスカル・ジュプンによるガムラン演奏「パニャンブラマ(歓迎の花撒きの踊り)」で幕開け。ガムランの響きと煌びやかな歓迎の踊りで、一気に大ホールからバリへと誘われました。

はなまき1.JPGはなまき2.JPG

続いて、スカル・ジュプンの代表・瀬戸宏さんが、ガムラン音楽の背景となる、バリ島の自然・社会・宗教についてのレクチャーを行いました。「バリ島に行ったことがある方は?」との呼びかけには多くのお客様の手が上がり、出演者のみなさんもびっくり。

各楽器と音楽の仕組みの説明では、旋律が繰り返される「周期性」、中心の旋律に高音の細かい装飾音、低音で音数の少ないベースパート、ゴング、太鼓、シンバルなどが重なって音響が作られる「多層性」、2台1組で異なるリズムを奏でて1つの旋律となるコテカンという技法が用いられる「共同性」について、実演を交えてわかりやすくレクチャーいただきました。

楽器紹介1瀬戸先生.JPG楽器紹介2.JPG楽器紹介3.JPG

楽器紹介4.JPG楽器紹介5.JPG楽器紹介6音楽特徴.JPG

そして、お客様も手拍子でガムランのリズムを体験し、大いに盛り上がりました。

手拍子.JPG

前半の最後は内藤愛さんによる、即興的で勇ましい男踊り「バリス(戦士の踊り)」。
目線、手の指先、足の指先まで力みなぎる迫力の舞踊と、緩急、大小と、目まぐるしく変化する演奏にくぎ付けになりました。

バリス1.JPGバリス2.JPG

後半は、レクチャーからスタート。バリ島の様々なガムランや踊りについて、それが奏される儀式の映像、そのリズムの元となったであろう自然の中の生き物の鳴き声や、人々の生活音など、多面的にガムランを紹介していただきました。自然や生活、祈りと密接に結びついているガムランを、より深く理解する機会となりました。

最後は再び荒内さんと近藤さんによる舞で「レゴン・ラッサム(ラッサム王物語)」。2人でシンクロして踊る前半と、ストーリーを表現する後半、どちらも見ごたえたっぷりでした。

ラッサム1.JPGラッサム2.JPG

お客様からは、「旅行に行ったときは異国情緒として楽しんだけれど、今回の解説でその背景や音楽的仕組みを知ることができて、より興味がわいた」「演奏も踊りも素晴らしかった」などのお声をいただきました。

今後の友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベントも、感染防止対策を講じながら、みなさまの興味関心が広がるような企画をご用意していきます。どうぞお楽しみに。

集合写真.JPG

[出演]
●スカル・ジュプン(ガムラン)
瀬戸 宏 足立真里子 岡部景子 加藤公敏 木下浩司 佐々木典子 田仲 文 塚原 尚
塚原 環 平川麻木子 平山麻実 藤田栄子 吉田有紀 渡邉暢子 亘 寛子 鈴木良枝
●荒内琴絵 近藤友麻 内藤 愛(舞踊)

11月22日(日)、ゲルハルト・オピッツによるピアノ・リサイタルを開催しました。

未曽有の事態となった2020年は、ベートーヴェン生誕250周年のアニバーサリーイヤー。

コロナ禍により多くの演奏会が中止を余儀なくされ、アーティストの皆さんも様々な葛藤を抱えながら過ごされている中、ベートーヴェンの魂を受け継ぐとも言われているドイツの巨匠、ゲルハルト・オピッツが来日を果たし、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ4曲という贅沢この上ないプログラムを披露してくださいました。

oppits-1.jpg

冒頭は、「悲愴」。ベートーヴェン自身がつけたタイトルではないそうですが、昨今の世相を思い起こさせるような重々しい序奏や突如走り出す焦燥感のあるアレグロが特徴の第一楽章、耳にする機会も多い甘美でメロディックな第二楽章、歌心にあふれた第三楽章と、オピッツ氏が紡ぐ淡々とした表現ながらも深い情感をたたえた音に胸を打たれます。

続いて、「ルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と、ドイツの詩人に評された「月光」。ベートーヴェンの音楽を読み解き、「ベートーヴェンの音楽は、他者への思いやりにあふれる彼の人柄を映し出しています」とご本人が語ったように、異なる曲想の3つの楽章を豊かな音色で彩り、聴衆を虜にしました。

oppits-2.jpg

後半に入ってもなお、聴衆の心を掴んで離しません。

ベートーヴェン自身が苦悩に立ち向かいながら作曲を続けた「テンペスト」はどこか哲学的であり、それとは対照的にまるで物語のページをめくるかのように流れる音楽に身を委ねます。続く「熱情」では、「第1、3楽章に込められた溢れんばかりの情熱と、第2楽章が提示する平穏や思慮深さとの対比が見事」、とご本人が語られたように、魂がほとばしる熱演を披露してくださいました。ベートーヴェンが生涯を賭して作曲を続けたピアノ・ソナタ。その情熱を受け取った客席の皆さんからは、あたたかな拍手と喝采が贈られました。

oppits-4.jpg

oppits-3.jpg

鳴りやまない拍手に応え、アンコールでは、同じくドイツの作曲家、ブラームスの「6つの小品Op.118」より第2番 間奏曲イ長調の演奏を。コンサートの終了を惜しむようなメランコリックな美しいハーモニーが響きました。

「ベートーヴェンは、人類の美徳と共感力に訴えかけ、人々に救済と希望を与えます。」

と、事前インタビューで語ってくれたオピッツ氏。コロナ禍により生のコンサートに足を運ぶ機会も少なくなってきている今だからこそ、ベートーヴェンの音楽によるメッセージが、オピッツ氏による演奏で心の奥底まで響いてくるような珠玉のコンサートでした。

公演写真:藤本史昭

【プログラム】

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ
 第8番 「悲愴」
 第14番 「月光」
 第17番 「テンペスト」
 第23番 「熱情」

<アンコール>

ブラームス:「6つの小品Op.118」より 第2番 間奏曲 イ長調

月別アーカイブ

2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
最新の書き込み
 
 
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年

 
〒184-0004
東京都小金井市本町6-14-45
TEL: 042-380-8077
FAX: 042-380-8078

開館時間: 9:00 ~ 22:00
受付時間: 9:00 ~ 19:00
休館日: 毎月第2火曜日および第3火曜日(祝日の場合はその直後の平日) / 年末年始 / 保守点検日
イベントレポート
【FOCUS こがねい】津村禮次郎の能楽の楽しみ
20. 12. 26

12月6日(日)当館主催では初となる能楽の公演を、小金井市が誇る能楽師、津村禮次郎プロデュースにより開催しました。

「能ってなんか難しそう・・」と敬遠してきた方にこそ足を運んでもらいたい、能の楽しさをお伝えしたい!と、冒頭にミニ能楽講座を設けました。

能・狂言の歴史、今回のあらすじや見せ場となる場面での小道具の役割、謡(うたい)の解釈などを解説し、これから始まる古典芸能の世界へと期待が高まります。

report2.jpg report3.jpg

能楽では、能と狂言がセットで上演されます。解説の後は、まずは狂言師・野村万蔵さん、野村万之丞さん、野村晶人さんが登場。棒に縛られながらも、何とかして酒を飲もうとするコミカルな狂言『棒縛(ぼうしばり)』を披露しました。

狂言ならではのリズムある言い回し、大胆でありつつ細やかな表情や美しく可笑しみのある所作に、客席からは笑いがこぼれます。

report4.jpg report5.jpg

report6.jpg

後半は、能『葵上』です。

源氏物語の「夕顔」、「葵」の巻を大胆に能に作りこんだ代表的な作品で、最も人気がある能の演目の一つ。演目名にもなっている「葵上」は人物としては登場せず、舞台中央に置かれた美しい小袖が病に伏せる葵上を表します。

光源氏を廻る女性の中でも、深く光源氏に心を寄せていた六条御息所。嫉妬心に苛まれ、葵上のために巫女が祈祷を始めると、生き霊となり葵上を幽界へと連れ去ろうとします。

ここで用いられているのは「泥眼(でいがん)」と呼ばれる能面。髪が乱れているのも多く、嫉妬に苦しむ女性やこの世のものではないものをあらわす虚ろな目が特徴です。

どことなく漂う薄気味悪さ。客席にも少し緊張が走ります。

report9.jpg report10.jpg

そして、怨霊を鎮めるために比叡山からの横川の行者が祈りを捧げ始めると、怨霊は真の鬼と化します。

激しい憎しみと妖艶さを表す真っ赤な袴、恐ろしい形相の「般若(はんにゃ)」の能面をつけて舞台上へあらわれます。

report11.jpg report14.jpg

行者を激しく威嚇する鬼、いさめようとする行者。お囃子や謡も大きくなり、両者の争いもピークに!

凄まじい争いの末、六条御息所は遂に仏の心を得たとして一曲を結び、舞台上には静寂が訪れるのでした。

report15.jpg report16.jpg

ご来場いただいた方からは、「初めてだったけど解説があったので楽しめた」「幽玄の世界を堪能した」などのお声をいただき、普段のホールとはまた違った舞台の魅力を感じていただけました。

こちらのブログを読んでくださっている方に特別に、今回の舞台裏を少しだけ公開!

能の舞台には所作台(しょさだい)と呼ばれる特別な舞台を設置します。所作台は、足袋でのみ歩くことが許されるとても神聖な場所。舞台スタッフも皆足袋を履き、橋掛かりの位置や背景の竹の長さなどを入念にチェックします。

butai_1.jpg

能の舞台上では、場面に合わせて衣装の早着替えが必要です。そのため、舞台袖には鏡などが設置され、小さな楽屋に変身。後見(こうけん)と呼ばれるお支度を整える役割の人が、能面をつけるとほぼ前が見えないシテ方を舞台上へ送り出し、手際よく着替えさせるその鮮やかな仕事ぶりに、初めて能の舞台裏を体験した担当は感動しました。

また、背景に使われた竹の装飾は、前夜に小金井市内の造園の職人さんが舞台上で竹を割って手作りした一点もの!ライトアップされた竹の装飾は、今回の舞台の世界観を表していてとても素敵でした。

butai_2.jpg

ご来場いただいた方、ブログをお読みいただいた方、どうもありがとうございました!

公演写真:藤本史昭

 
イベントレポート
まちかどコンサート(10月~12月 複数回開催)
20. 12. 17

例年、市内各校の小学6年生が合同で行っている校外学習「オーケストラ鑑賞教室」が中止になったことから、その代替企画として、当館大ホールでミニコンサートを実施しました。
通常は希望された学校へ出張して行っている「まちかどコンサート」をホールに児童と先生をお招きする形で開催。10月~12月にかけて、市内6校の6年生がそれぞれ来館されました。

main.JPG

演奏は「こがねいガラ・オーケストラ」メンバーで構成された室内楽ユニット「ムジカこがねい」。

開演前、ホールという空間に緊張気味だった児童たちは、舞台袖からチューニングの音が聞こえると、にわかにドキドキソワソワ・・・
フチークの「剣闘士の入場」からコンサートが始まると、次第にリラックス。徐々に音楽に引き込まれていきました。

メンバーがヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、オーボエ、イングリッシュホルンの楽器紹介などのお話しを交えながら、ヴィヴァルディの『四季』より「春」、アンダーソンの「プリンク・プレンク・プランク」、ドヴォルザークの「家路」と、聴きなじみのあるクラシックの小品を演奏。

21.JPG22.JPG23.JPG

31.JPG32.JPG33.JPG

また、作曲家をイラストパネルで見せながら楽曲紹介をする「作曲家メドレー」と、ヴァイオリンの奥村さんのナビゲートで、タンゴ、フォークダンス、ジャズ、ルンバ、ソーラン節、といろいろな国のリズムや曲想を堪能できる「世界音楽旅行」という、趣向を凝らしたメドレー2曲をお送りしました。

41.JPG42.JPG


熱心にメモをとっている子、リラックスして響きを堪能している子、それぞれのスタイルで楽しそうに鑑賞していました。

後日いただいたお手紙には、「5人だけだったのにすごいきれいな音色だったので、大勢のオーケストラになるとどんな感じなのか、もっと気になりました。家族で聞きに行ってみたいです」「コロナでいろいろな行事ができなくなって、しずんでいた心が、音楽を聞けて明るくなりました」「自分にはない力がこの人たち(ムジカこがねい)の体の中にあるとずっとかんじていました。えんそうする力、あきらめずにプロまでがんばった力がとくにつたわってきました」など、嬉しい感想がたくさん書かれていました。

「今度は僕たちの学校にも来てください。そのときは、マスクをはずして笑顔で迎えられたらいいなと思います」と書いてくれた子も。

私たちもまた、様々な形で、みなさんにアートを届けられる機会を作りたいと思っています。
来年度のまちかどコンサートもお楽しみに!

member.JPG

[出演] ムジカこがねい
[メンバー]写真左から
・杉本真木(オーボエ)
・奥村 愛(ヴァイオリン)
・阪田宏彰(チェロ)
・今井香奈(ヴァイオリン)
・金 孝珍(ヴィオラ)

 
友の会イベントレポート
「知って楽しむ世界の音楽~祈りの島のガムラン~」
20. 12. 14

今回の友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベントは、「知って楽しむ世界の音楽~祈りの島のガムラン~」と題し、インドネシア・バリ島のガムラン音楽のレクチャーコンサートを実施。
「知って楽しむ世界の音楽」シリーズとしては、「魅惑のアルゼンチンタンゴ」「幻の古楽器『バリトン』」に続き3本目となります。

6月に予定していた公演を12月に延期、感染症対策のため、会場を小ホールから大ホールへ移しての開催となりました。

レポートメイン.JPG

まずは荒内琴江さん、近藤友麻さんによる舞とスカル・ジュプンによるガムラン演奏「パニャンブラマ(歓迎の花撒きの踊り)」で幕開け。ガムランの響きと煌びやかな歓迎の踊りで、一気に大ホールからバリへと誘われました。

はなまき1.JPGはなまき2.JPG

続いて、スカル・ジュプンの代表・瀬戸宏さんが、ガムラン音楽の背景となる、バリ島の自然・社会・宗教についてのレクチャーを行いました。「バリ島に行ったことがある方は?」との呼びかけには多くのお客様の手が上がり、出演者のみなさんもびっくり。

各楽器と音楽の仕組みの説明では、旋律が繰り返される「周期性」、中心の旋律に高音の細かい装飾音、低音で音数の少ないベースパート、ゴング、太鼓、シンバルなどが重なって音響が作られる「多層性」、2台1組で異なるリズムを奏でて1つの旋律となるコテカンという技法が用いられる「共同性」について、実演を交えてわかりやすくレクチャーいただきました。

楽器紹介1瀬戸先生.JPG楽器紹介2.JPG楽器紹介3.JPG

楽器紹介4.JPG楽器紹介5.JPG楽器紹介6音楽特徴.JPG

そして、お客様も手拍子でガムランのリズムを体験し、大いに盛り上がりました。

手拍子.JPG

前半の最後は内藤愛さんによる、即興的で勇ましい男踊り「バリス(戦士の踊り)」。
目線、手の指先、足の指先まで力みなぎる迫力の舞踊と、緩急、大小と、目まぐるしく変化する演奏にくぎ付けになりました。

バリス1.JPGバリス2.JPG

後半は、レクチャーからスタート。バリ島の様々なガムランや踊りについて、それが奏される儀式の映像、そのリズムの元となったであろう自然の中の生き物の鳴き声や、人々の生活音など、多面的にガムランを紹介していただきました。自然や生活、祈りと密接に結びついているガムランを、より深く理解する機会となりました。

最後は再び荒内さんと近藤さんによる舞で「レゴン・ラッサム(ラッサム王物語)」。2人でシンクロして踊る前半と、ストーリーを表現する後半、どちらも見ごたえたっぷりでした。

ラッサム1.JPGラッサム2.JPG

お客様からは、「旅行に行ったときは異国情緒として楽しんだけれど、今回の解説でその背景や音楽的仕組みを知ることができて、より興味がわいた」「演奏も踊りも素晴らしかった」などのお声をいただきました。

今後の友の会「こがねいメンバーズ」会員限定イベントも、感染防止対策を講じながら、みなさまの興味関心が広がるような企画をご用意していきます。どうぞお楽しみに。

集合写真.JPG

[出演]
●スカル・ジュプン(ガムラン)
瀬戸 宏 足立真里子 岡部景子 加藤公敏 木下浩司 佐々木典子 田仲 文 塚原 尚
塚原 環 平川麻木子 平山麻実 藤田栄子 吉田有紀 渡邉暢子 亘 寛子 鈴木良枝
●荒内琴絵 近藤友麻 内藤 愛(舞踊)

 
イベントレポート
【THE SUPER PREMIUM】ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル
20. 12. 04

11月22日(日)、ゲルハルト・オピッツによるピアノ・リサイタルを開催しました。

未曽有の事態となった2020年は、ベートーヴェン生誕250周年のアニバーサリーイヤー。

コロナ禍により多くの演奏会が中止を余儀なくされ、アーティストの皆さんも様々な葛藤を抱えながら過ごされている中、ベートーヴェンの魂を受け継ぐとも言われているドイツの巨匠、ゲルハルト・オピッツが来日を果たし、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ4曲という贅沢この上ないプログラムを披露してくださいました。

oppits-1.jpg

冒頭は、「悲愴」。ベートーヴェン自身がつけたタイトルではないそうですが、昨今の世相を思い起こさせるような重々しい序奏や突如走り出す焦燥感のあるアレグロが特徴の第一楽章、耳にする機会も多い甘美でメロディックな第二楽章、歌心にあふれた第三楽章と、オピッツ氏が紡ぐ淡々とした表現ながらも深い情感をたたえた音に胸を打たれます。

続いて、「ルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と、ドイツの詩人に評された「月光」。ベートーヴェンの音楽を読み解き、「ベートーヴェンの音楽は、他者への思いやりにあふれる彼の人柄を映し出しています」とご本人が語ったように、異なる曲想の3つの楽章を豊かな音色で彩り、聴衆を虜にしました。

oppits-2.jpg

後半に入ってもなお、聴衆の心を掴んで離しません。

ベートーヴェン自身が苦悩に立ち向かいながら作曲を続けた「テンペスト」はどこか哲学的であり、それとは対照的にまるで物語のページをめくるかのように流れる音楽に身を委ねます。続く「熱情」では、「第1、3楽章に込められた溢れんばかりの情熱と、第2楽章が提示する平穏や思慮深さとの対比が見事」、とご本人が語られたように、魂がほとばしる熱演を披露してくださいました。ベートーヴェンが生涯を賭して作曲を続けたピアノ・ソナタ。その情熱を受け取った客席の皆さんからは、あたたかな拍手と喝采が贈られました。

oppits-4.jpg

oppits-3.jpg

鳴りやまない拍手に応え、アンコールでは、同じくドイツの作曲家、ブラームスの「6つの小品Op.118」より第2番 間奏曲イ長調の演奏を。コンサートの終了を惜しむようなメランコリックな美しいハーモニーが響きました。

「ベートーヴェンは、人類の美徳と共感力に訴えかけ、人々に救済と希望を与えます。」

と、事前インタビューで語ってくれたオピッツ氏。コロナ禍により生のコンサートに足を運ぶ機会も少なくなってきている今だからこそ、ベートーヴェンの音楽によるメッセージが、オピッツ氏による演奏で心の奥底まで響いてくるような珠玉のコンサートでした。

公演写真:藤本史昭

【プログラム】

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ
 第8番 「悲愴」
 第14番 「月光」
 第17番 「テンペスト」
 第23番 「熱情」

<アンコール>

ブラームス:「6つの小品Op.118」より 第2番 間奏曲 イ長調