
【イベントレビュー】「こがねいガラ・コンサート2025」
小金井市ゆかりのプロ演奏家が集結した「こがねいガラ・オーケストラ」の演奏会もなんと14回目!
このオーケストラは、569席の当館のホールに合う、小型の"室内オーケストラ“で、今年のプログラムは、そのサイズ感や機動性といった持ち味をより深く堪能できる選曲。そして、ソリストには大人気ピアニストの石井琢磨さんを迎えてお届けしました。途中には、マエストロ茂木大輔さんの曲目解説や、石井さんとのトークも!
まずは、「ドイツ国民オペラの創始者」ともいわれる、ウェーバー作曲「歌劇『魔弾の射手』序曲」で幕開け。
これから始まるオペラのストーリーの"予告ダイジェスト版”のように、金管楽器の芳醇なハーモニー、激しくざわめく弦楽器、クラリネットとヴァイオリンによる多幸感に満ちた旋律など、次々に表情を変えて展開し、オーケストラの様々な響きを味わうことができました。
続いてもウェーバーの作品で「交響曲 第1番 ハ長調」を。
18歳から劇場付の指揮者兼作曲家として活躍していたウェーバーですが、20歳のときにカールスルーエの宮廷に招かれ、その頃に宮廷楽団の編成にならい、小規模な編成で書いたといわれている交響曲です。
速いスケールで疾走感にあふれた第1楽章に続く第2楽章では、一転して厳かな雰囲気に。特にオーボエのソロが切々とうたい、弦の伴奏が静かに寄り添う場面は涙を誘いました。軽快に弾む第3楽章、躍動感にあふれたフィナーレで第4楽章が締められると、満席の会場から大きな拍手が沸き起こりました。
休憩を挟んで、「管弦楽の魔術師」といわれたフランスの作曲家、ラヴェルの名曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」から後半のスタートです。
ホルンが長い旋律を静かに、そして滑らかに奏でると、ハープのグリッサンドが気品とロマンティックさを演出しました。アンニュイな浮遊感、うっとりとした空気感が会場をやさしく包み込みました。
続くプログラムは同じくラヴェル作曲の組曲『クープランの墓』。
オーボエから始まる「プレリュード」は、繊細かつチャーミングで、ハープの煌めきとヴァイオリンのピアニッシモで美しい余韻をまとって、次の「フォルラーヌ」へ。バロック風の舞曲ですが、水彩画のように淡くにじむ色彩感が美しく、続く「メヌエット」も、牧歌的でありながら、ジャズ的なハーモニーが用いられるなど、ラヴェルらしい複雑性も感じられました。最後はいきいきとした舞曲「リゴドン」。こがねいガラ・オーケストラの魅力を随所に感じられた組曲を堪能し、心にじんわり充実感が広がります。
最後はお待ちかね、ピアニスト石井琢磨さんを迎え、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」をお届けしました。
だれでも一度は聴いたことのある有名な曲ですが、今回は演奏されることが少ない、ファリントンが編曲した室内オーケストラ版で、管楽器はなんと各パート1人ずつしかいません。
クラリネットの印象的なグリッサンドでスタートすると、遊びごころにあふれた音楽が躍動!「今回あらためてこの曲を勉強し直しました」と語る石井さんのノリに乗った華麗な演奏に、観客の目も釘付けとなりました。
この編成だからこそ、ソロやデュオのアンサンブル感、自由な音楽の対話感が増し、随所にちりばめられた特殊奏法もクリアに聴こえ、聴きなれた編曲とはアクセントの場所がちょっとずつ違うなどの発見もありました。石井さんファンの方はもちろん、この曲をよくお聴きになる方、こがねいガラ・オーケストラのリピーターの方にも、お楽しみいただけたのではないでしょうか。
最後の一音が終わるや否や、大喝采が響き渡りました。
そして今年も、音楽家を目指す若い世代を対象にした「インターンシップ制度」を実施し、オーディションに合格し、メンバーの指導を受けた5名のインターン生が出演しました。過去のインターン生からは数名が正規メンバーとしてステージに上がっており、ホールとオーケストラ、そしてお客様が一体となって、次世代の音楽家を応援しています。
演奏後のひとことインタビューをXに投稿していますので、ぜひご覧ください。
https://x.com/koganei_civic/status/1979893090908516510
写真左から、島田桃乃さん(チェロ)、北原恵理さん(ヴァイオリン)、日向真耶さん(ヴァイオリン)、国崎祐未(オーボエ)、花岡 綾(オーボエ)
毎年楽しみにしてくださっている方も多いこがねいガラ・コンサート。今年も充実した時間をお過ごしいただけましたでしょうか。
ご来場いただきましたみなさま、このレポートを読んでいただきましたみなさま、ありがとうございました。
■そして今回も小学生による「こがねいジュニア特派員」が出動!レポートを書いてくれました。
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.15】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.16】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.17】
(公演写真:横田敦史)
本日のアンコール曲目
本日のアンコール曲目は以下の通りです。
モーツァルト:交響曲 第39番 第3楽章
ご来場ありがとうございました。

小金井市ゆかりのプロ演奏家が集結した「こがねいガラ・オーケストラ」の演奏会もなんと14回目!
このオーケストラは、569席の当館のホールに合う、小型の"室内オーケストラ“で、今年のプログラムは、そのサイズ感や機動性といった持ち味をより深く堪能できる選曲。そして、ソリストには大人気ピアニストの石井琢磨さんを迎えてお届けしました。途中には、マエストロ茂木大輔さんの曲目解説や、石井さんとのトークも!
まずは、「ドイツ国民オペラの創始者」ともいわれる、ウェーバー作曲「歌劇『魔弾の射手』序曲」で幕開け。
これから始まるオペラのストーリーの"予告ダイジェスト版”のように、金管楽器の芳醇なハーモニー、激しくざわめく弦楽器、クラリネットとヴァイオリンによる多幸感に満ちた旋律など、次々に表情を変えて展開し、オーケストラの様々な響きを味わうことができました。
続いてもウェーバーの作品で「交響曲 第1番 ハ長調」を。
18歳から劇場付の指揮者兼作曲家として活躍していたウェーバーですが、20歳のときにカールスルーエの宮廷に招かれ、その頃に宮廷楽団の編成にならい、小規模な編成で書いたといわれている交響曲です。
速いスケールで疾走感にあふれた第1楽章に続く第2楽章では、一転して厳かな雰囲気に。特にオーボエのソロが切々とうたい、弦の伴奏が静かに寄り添う場面は涙を誘いました。軽快に弾む第3楽章、躍動感にあふれたフィナーレで第4楽章が締められると、満席の会場から大きな拍手が沸き起こりました。
休憩を挟んで、「管弦楽の魔術師」といわれたフランスの作曲家、ラヴェルの名曲「亡き王女のためのパヴァーヌ」から後半のスタートです。
ホルンが長い旋律を静かに、そして滑らかに奏でると、ハープのグリッサンドが気品とロマンティックさを演出しました。アンニュイな浮遊感、うっとりとした空気感が会場をやさしく包み込みました。
続くプログラムは同じくラヴェル作曲の組曲『クープランの墓』。
オーボエから始まる「プレリュード」は、繊細かつチャーミングで、ハープの煌めきとヴァイオリンのピアニッシモで美しい余韻をまとって、次の「フォルラーヌ」へ。バロック風の舞曲ですが、水彩画のように淡くにじむ色彩感が美しく、続く「メヌエット」も、牧歌的でありながら、ジャズ的なハーモニーが用いられるなど、ラヴェルらしい複雑性も感じられました。最後はいきいきとした舞曲「リゴドン」。こがねいガラ・オーケストラの魅力を随所に感じられた組曲を堪能し、心にじんわり充実感が広がります。
最後はお待ちかね、ピアニスト石井琢磨さんを迎え、ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」をお届けしました。
だれでも一度は聴いたことのある有名な曲ですが、今回は演奏されることが少ない、ファリントンが編曲した室内オーケストラ版で、管楽器はなんと各パート1人ずつしかいません。
クラリネットの印象的なグリッサンドでスタートすると、遊びごころにあふれた音楽が躍動!「今回あらためてこの曲を勉強し直しました」と語る石井さんのノリに乗った華麗な演奏に、観客の目も釘付けとなりました。
この編成だからこそ、ソロやデュオのアンサンブル感、自由な音楽の対話感が増し、随所にちりばめられた特殊奏法もクリアに聴こえ、聴きなれた編曲とはアクセントの場所がちょっとずつ違うなどの発見もありました。石井さんファンの方はもちろん、この曲をよくお聴きになる方、こがねいガラ・オーケストラのリピーターの方にも、お楽しみいただけたのではないでしょうか。
最後の一音が終わるや否や、大喝采が響き渡りました。
そして今年も、音楽家を目指す若い世代を対象にした「インターンシップ制度」を実施し、オーディションに合格し、メンバーの指導を受けた5名のインターン生が出演しました。過去のインターン生からは数名が正規メンバーとしてステージに上がっており、ホールとオーケストラ、そしてお客様が一体となって、次世代の音楽家を応援しています。
演奏後のひとことインタビューをXに投稿していますので、ぜひご覧ください。
https://x.com/koganei_civic/status/1979893090908516510
写真左から、島田桃乃さん(チェロ)、北原恵理さん(ヴァイオリン)、日向真耶さん(ヴァイオリン)、国崎祐未(オーボエ)、花岡 綾(オーボエ)
毎年楽しみにしてくださっている方も多いこがねいガラ・コンサート。今年も充実した時間をお過ごしいただけましたでしょうか。
ご来場いただきましたみなさま、このレポートを読んでいただきましたみなさま、ありがとうございました。
■そして今回も小学生による「こがねいジュニア特派員」が出動!レポートを書いてくれました。
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.15】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.16】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.17】
(公演写真:横田敦史)
本日のアンコール曲目は以下の通りです。
モーツァルト:交響曲 第39番 第3楽章
ご来場ありがとうございました。