小金井 宮地楽器ホール

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【イベントレビュー】こがねいガラ・コンサート 2022

今年は開館10周年!
開館当初から続く、小金井ゆかりの名手が集うオーケストラによる「こがねいガラ・コンサート」も10周年となりました。毎秋楽しみにしてくださっているみなさまには改めて御礼申し上げます。記念すべき今年は、名歌手4名を迎えて華やかに、これぞ“ガラ(祝祭)”というコンサートをお贈りしました。

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第1部『モーツァルト・スペシャル』のプログラムは、歌劇《ドン・ジョヴァンニ》の序曲から。
3年前の「こがねいガラ」で上演した際は、マエストロ茂木大輔さんが急病で降板となったこの演目。物語の結末は悲劇であるものの、マエストロのリベンジとなる一曲からのスタートは、むしろ明るい未来を象徴しているかのような感動がありました。
本演目からは、従者レポレッロによる遊び心たっぷりの〈カタログの歌〉をイケボのバリトン黒田博さんが演じ、色気あるドン・ジョバンニと、あざとかわいいツェルリーナの二重唱〈お手をどうぞ〉を、黒田さんと、先日第91回日本音楽コンクール声楽部門で第2位を受賞したばかりのソプラノ種谷典子さんが演じました。

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続くプログラムは、歌劇《皇帝ティトゥスの慈悲》よりセストのアリア〈行こう、だが愛しい人よ〉。かつてはカストラートが演じていたセストをメゾソプラノ鳥木弥生さんが男装をして歌いあげ、クラリネット藤井洋子さんがともに雛壇に上がり美しいオブリガードを披露。人の声に最も近いともいわれるクラリネットと、まろやかでありながら力強い鳥木さんの歌声との応酬に、盛大な拍手が送られました。
そして、そのままオーケストラの中の席に戻る藤井さんに笑い声も。(ソリストもソロ以外の曲はオーケストラの中で演奏するのが、「こがねいガラ」の特徴でもあります!)

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モーツァルトの歌劇からもう1演目、《フィガロの結婚》からは立て続けに名曲を。
小金井の名手たちによる温かく楽しいコンサートをさらに盛り上げるような軽快な序曲に続いて、レチタティーヴォも麗しいスザンナのアリア〈恋人よ、早くここへ〉を種谷さんが、ギターを模した弦楽器のピツィカートに乗せて歌われるケルビーノのセレナーデ〈恋とはどんなものかしら〉を鳥木さんが、茶目っ気たっぷりのフィガロのアリア〈もう飛ぶまいぞこの蝶々〉を黒田さんが演じました。

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休憩を挟んでの1曲目は、10周年特別企画「みんなで決めるプログラム 総選挙」で第1位に選ばれた、モーツァルトの「オーボエ協奏曲 ハ長調より 第1楽章」を生粋の小金井市民のオーボエ奏者、杉本真木さんのソロでお届け。茂木さんとの出会いは緑中の中学生だったときに遡る(茂木さんが教育実習で訪れたときの生徒)というエピソードも披露され、端正で活き活きとした演奏とともに楽しませてくれました。

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第2部は『カルメン・ハイライト』
ここからは、昨年からスタートした企画、「インターンシップ」の参加者4名も加わります。オーディション、個人レッスン、分奏、リハーサルを経て、このステージに臨みました。
(写真左から、清水咲里さん、和知英恵さん、山本絵里奈さん、岩崎壮佑さん)

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演奏後のひとことインタビューはこちらのツイートをご覧ください。
♪清水さん・・・ https://twitter.com/koganei_civic/status/1589211592893562881
♪和知さん・・・https://twitter.com/koganei_civic/status/1589211949367431169
♪山本さん・・・https://twitter.com/koganei_civic/status/1589212376179834881
♪岩崎さん・・・https://twitter.com/koganei_civic/status/1589212759581134848

そして昨年のインターン生、チェロの西田歩夢さんは、今回は正規メンバーとして参加。すでに夢への1歩を踏み出し、隣の席のインターン生、岩崎さんをフォローしていました。

さて、『カルメン・ハイライト』に戻りますと、一度は耳にしたことがある名曲のオンパレードが人数・楽器群を増強したパワフルなオーケストラと、それに負けない声量と熱量を湛えた名歌手4名により紡がれていきます。カルメンは鳥木さんが、ドン・ホセは甘い歌声のテノール吉田浩之さんが、ミカエラは種谷さんが、エスカミーリョは黒田さんが演じました。

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シンバルの音も煌びやかな〈第1幕への前奏曲〉から始まり、妖艶で自由奔放なカルメンの〈ハバネラ〉、ドン・ホセと婚約者ミカエラによるロマンティックな〈手紙の二重唱〉、ファゴットとスネアが活躍、かわいらしくも哀愁を帯びたマーチのような〈第2幕への前奏曲〉、エスカミーリョによる勇壮な〈闘牛士の歌〉、ドン・ホセの熱い熱い〈花の歌〉、ハープとフルートが得も言われぬ美しさの〈第3幕への前奏曲〉、一途な愛にあふれた〈ミカエラのアリア〉と畳みかけます。
そしていよいよ、〈第4幕への前奏曲〉に続いて、クライマックスの〈幕切れの二重唱〉。愛憎入り乱れる白熱のシーン、オーケストラの熱演、鳥木さん、吉田さんによる熱唱に、客席全体が飲み込まれていくかのようでした。

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指揮棒が下りると、一瞬の間をおいて、盛大な拍手が送られ、《天国と地獄》のカンカンに乗せて、楽しいカーテンコールとなりました。アンコールは《椿姫》より〈乾杯の歌〉。2012年の開館記念式典の際に、今回も出演されている吉田浩之さんらソリストと市民有志の合唱団が共演した曲でもあります。お客さまの中には、10年前に一緒に歌われた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

茂木マエストロ、オーケストラのみなさま、名歌手のみなさま、インターン生のみなさま、そして何よりいつも温かい拍手を送ってくださる多くのお客さまと一緒に、開館10周年を喜び合い、素晴らしい音楽を通じて感動を分かち合えたことをスタッフ一同、大変嬉しく思っております。
今後も、どうぞよろしくお願いします。

■小中学生の「ジュニア特派員」はこの瞬間をどのように感じたのでしょうか。
 今回は3名の特派員がレポートを書いてくれました。こちらもぜひご覧ください。
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.16】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.17】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.18】

(公演写真:横田敦史)

本日のアンコール曲目

本日のアンコール曲目は以下のとおりです。

オッフェンバック:喜歌劇《天国と地獄》より カンカン
ヴェルディ:歌劇《椿姫》より〈乾杯の歌〉

ご来場ありがとうございました。

こがねいガラ・コンサート2022
<みんなで決めるプログラム 総選挙> 【 投票受付終了 】

小金井 宮地楽器ホールの開館10周年を記念して、11/6「こがねいガラ・コンサート2022」で演奏するプログラムの一曲を皆さまの投票で決定します。
曲目リストより、お好きな曲・思い出の曲に清き一票を!どなたでも投票いただけます。

【投票期間】2022年7月15日(金)~9月15日(木) <受付終了>

【投票方法】
1)投票用紙(来館・郵送・FAX)
 投票用紙は【こちら】
2)Web投票

【結果発表】
11/6(日)「こがねいガラ・コンサート2022」公演当日

★こがねいガラ・オーケストラが演奏します


<曲目リスト>
こがねいガラ・オーケストラが輝くモーツァルト 10の曲目リスト および 指揮者・茂木大輔さんによる曲目紹介&オススメポイント!

1)交響曲 第25番 ト短調 K183より 第1楽章
映画『アマデウス』の冒頭、嵐のシーンで用いられて有名になった。モーツアルトの2つしかない短調の交響曲のひとつ。「疾風怒濤」と呼ばれたハイドン初期の交響曲との共通性があり、ホルン4本を用いる異例の編成や、オーボエの独奏が音楽に緊張感を与えている。

2)オーボエ協奏曲 ハ長調 K314より 第1楽章
ザルツブルク宮廷楽団に勤務していた当時、新任のイタリア人オーボエ奏者フェルランディスの求めに応じて書かれた。のちにマンハイムの名手ラムが絶賛して幾度も演奏したとされている。日本では「のだめカンタービレ」での登場も有名になった。エースはウチの秘蔵っ子だまっせ〜。

3)交響曲 第31番 ニ長調 K297 《パリ》より 第3楽章
就職を全て断られ、母も亡くなるなど、パリで絶望の極地にあったモーツアルトが唯一の成功を呼んだ交響曲。第3楽章では演奏中に大喝采が起き、気を良くしたモーツアルトは帰り道、「パレ・ロワイヤルでアイスクリームを食べて帰りました」と父親に手紙を書いている。

4)フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K299より 第2楽章
パリ滞在中に貴族の結婚式のために依頼されて書いた作品で、映画『アマデウス』でも用いられた名曲。ゆっくりと花開くようなハープのアルペジオとフルートの歌、それを彩るセンチメンタルな和音の数々は、モーツアルトのイタリア・フランス・ドイツの音楽を知り尽くした真骨頂。

5)交響曲 第35番 ニ長調 《ハフナー》 K385より 第4楽章
ウィーンでフリーの音楽家として華々しい成功を続けた時期、故郷ザルツブルクからの依頼で書かれたセレナーデを交響曲に編曲し、ブルク劇場でのリサイタルで上演した作品。これがモーツアルトの人生最大のコンサートとなった。さまざまなオペラの雰囲気が詰まった愉快なロンド。

6)交響曲 第36番 ハ長調 《リンツ》 K425より 第2楽章
父親の強い反対を押し切ってコンスタンツェと結婚したモーツアルトが、披露のために父の待つザルツブルクを訪れ、その帰路立ち寄ったリンツで急に請われて数日で作曲したという作品。この第2楽章は新婚さんらしく、この世のものとは思われない愛に満ちた美しさ。いらっしゃ〜い♡

7)交響曲 第38番 ニ長調 《プラハ》 K504より 第3楽章(フィナーレ)
ウィーンでも数多の陰謀や羨望に苦しんだモーツアルトが、最も幸せだったのが《フィガロの結婚》、《ドン・ジョヴァンニ》を携えて乗り込んだプラハだった。「道ゆく人が皆フィガロのアリアを口ずさんでいる」のを馬車から眺め、毎日が演奏会。そんな飛び跳ねるような幸福そのものの音楽。

8)交響曲 第39番 変ホ長調 K543より 第3楽章 「メヌエット」
貧しく孤独になったモーツアルトは、生活の糧を求めて驚くべき短期間に最後の3つの交響曲を書いたが、かつては「彼の生前には一度も演奏されなかった」と悲しみをさそっていた。このメヌエットは、宮殿のような堂々たる華やかさと中間部での「呑気な」クラリネット・ソロが運ぶ密かな悲しみが大きなコントラストを作り、ベートーヴェンに絶大な影響を与えた。

9)交響曲 第40番 ト短調 K550より 第1楽章
2つしかない短調の交響曲のもうひとつがこれ。その精神的な深み、悲しみ、疾走、恐ろしいばかりの絶望の淵に差し込む管楽器のわずかな希望など、わずか数分の音楽のうちに人生の全てを体験したような気持ちになってしまう。このクラリネット版は、モーツアルトが後から追加した版。そのことが、この3曲もどこかで演奏されたに違いないという慰めを与えてくれる。

10)交響曲 第41番 ハ長調 《ジュピター》 K551より 第4楽章(フィナーレ)
ギリシア神話のゼウスに相当する最も偉い神様の名前を戴く理由は、おそらくこの第4楽章の醸し出す、宇宙的で神秘的な世界によるものだろう。交響曲のフィナーレとしては全く異例なフーガ的な音楽として作られていて、演奏しても指揮しても、何か常ならぬ興奮に包まれます。きっとこの曲に票が集まってしまうだろうなあ…と思いつつ、他のも聴いてね?と思っておりますよ。

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