19世紀初頭、音楽、絵画、文学と様々な文化が花開いた芸術の都、パリ。
作家として地位を確立していた“男装の麗人”ジョルジュ・サンドを通して、ピアノの詩人と呼ばれた天才、ショパンの名曲が生まれた背景を朗読とピアノ演奏で綴るコンサートを開催しました。
物語を紡ぐのは、恋多き女・ジョルジュと、その元恋人であり敏腕弁護士・ミッシェルとの往復書簡。包容力溢れるミッシェルを小金井市在住の俳優シライケイタが、19世紀当時女性として力強く生きるジョルジュを、冨樫真が演じました。
新進気鋭の女流作家と敏腕弁護士、いわば言葉のプロである2人がお互いに宛てて書く手紙には、当時の社会情勢やショパンを取り巻く社交界の様子が綴られ、時に同志、時にライバルのような2人の応酬は、当時の空気が漂ってくるかような臨場感。
そして、物語が展開する中心的役割を果たすショパンが生み出した数多の名曲は、實川風が奏でます。劇中にショパンとして登場し、核となる曲を披露するその佇まいは、本当にショパンかと錯覚するほど。時に激しく、時に悲しみを湛え、儚さのなかにも情熱が湧きあがり、研ぎ澄まされた音色、ピアノに向かう姿から片時も目を離すことができません。
世界中の人々を虜にするショパンの音楽。その人生の一端を辿る物語と演奏に、心を揺さぶられたリーディング・コンサートでした。
今回の公演はショパン・コンクールの時期とも重なり、ジョルジュ・サンドという作家を通してショパンに焦点をあてた公演でした。ショパン、コンクール、ジョルジュ・サンド、フランス文学といった多様な切り口から公演をお楽しみいただくため、小金井市立図書館にご協力いただき、ホワイエにて関連図書の展示も行いました。休憩時間中手に取ってご覧になるお客様も多く、様々な視点からショパンを堪能していただける機会となりました。
ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
公演写真:藤本史昭
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ショパン:練習曲より op.25-1 エオリアン・ハープ
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