厳しい残暑もひと段落した9月下旬。落語団体4派から精鋭4人を招いた「こがねい落語特選」が催されました。会場は満員御礼です。
前座は柳家しろ八さん。自身の芸名「しろ」の枕から、演目『元犬』でテンポよく始まりました。
そして「こがねい落語特選」で二つ目の落語家さんが出演するのは今回が初めて。立川吉笑さんの登場です。令和四年の「NHK新人落語大賞」を受賞した自作落語「ぷるぷる」を披露。松ヤニを舐めて唇がくっついてしまった男がご隠居さんに相談する噺。唇のあいだから、ぷるぷるした音でしか喋れないのにだんだんと言葉が分かるようになってくる可笑しさと、終盤にかけて「ぷるぷる」がエスカレートしていく技に一席目から大いに盛り上がりました。
次に登場したのは、現在最も注目を集めている落語家の一人、三遊亭兼好師匠。時事ネタや高齢化社会の話など、軽妙な語り口でマクラから大爆笑を巻き起こし、『お見立て』に突入。苦手な旦那を追い返そうと、花魁が若い衆にあれこれ頼むが、予想外の展開に…という噺。兼好師匠のテンポの良い口調と、登場人物たちを巧みに演じ分ける話術(特に花魁の艶っぽさが印象的でした)に客席は終始笑顔が絶えませんでした。
仲入り後に登場したのは、若手名手として注目される柳亭小痴楽師匠。演目は『堪忍袋』。冒頭からテンションの高い夫婦喧嘩のシーンで、客席は大爆笑。夫婦が手に入れた「堪忍袋」に文句を詰め込む場面では、手ぬぐいを堪忍袋に見立てた演技が見事で、観客は釘付けに。終盤、堪忍袋が膨れ上がる様子を臨場感たっぷりに語り、会場を大いに沸かせました。
そして大トリは、柳家三三師匠。演目は古典落語の『高田馬場』です。冒頭のガマの油売りの見事な口上に会場から拍手が起こります。流暢な語り口は心地よく、仇討ちの話に巻き込まれる町の人々の様子が目に浮かぶよう。実力派落語家として人気を誇る三三師匠の噺に、観客はすっかり引き込まれていました。
お客様からは「とても引きつけられて話に入り込めました」「各人の個性あふれる落語、楽しかったです」などのお声をいただきました。
ご来場いただきましたみなさま、このレポートを読んでいただきましたみなさま、ありがとうございました。
■公演の様子は、小学生の「こがねいジュニア特派員」もレポートしてくれています。こちらもぜひご覧ください。
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.9】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.10】
(公演写真:友澤綾乃)
本日の番組表は以下の通りです。
[開口一番]元犬・・・柳家しろ八
[落語]ぷるぷる・・・立川吉笑
[落語]お見立て・・・三遊亭兼好
<お仲入り>
[落語]堪忍袋・・・・柳亭小痴楽
[落語]高田馬場・・・柳家三三
ご来場、ありがとうございました。