行楽日和の3連休初日、世界的ピアニスト児玉麻里と児玉 桃の姉妹による、ピアノ・デュオのコンサートを開催しました。
1曲目はラヴェルの「マ・メール・ロワ」を4手連弾で。
ラヴェルが友人の子どもたちのために書いたといわれる、童話「マザーグース」を題材にしたこの曲。音数は多くはありませんが、遊び心とラヴェルらしい色彩を存分に味わえる愛らしい作品です。聴いてもステキな曲ですが、きょうだいや親しい友だちどうしで弾くとよりいっそう楽しいこの曲を、Primo(上のパート)には姉の麻里さんが、Second(下のパート)には妹の桃さんが演奏。その姿からは、子どもの頃から姉妹で切磋琢磨しながら、たまにはこのように連弾で遊んだりしたのかなと想像できるようでした。
2曲目はチャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』より数曲を2台ピアノで。
クリスマス・イブの夜、少女クララにプレゼントされたくるみ割り人形が、夢の中をエスコートするストーリーから、各国の踊りが異国情緒たっぷりに繰り広げられる場面の音楽をお届けしました。聴きなじみのある珠玉のメロディーの数々は、時にオーケストラのようにゴージャスに、時にオルゴールのようにかわいらしくホールに響き、一足早いクリスマス気分を味わいました。
なお、連弾で弾かれることも多いこの曲ですが、「2台ピアノだと、ペダルもそれぞれがコントロールでき、手もぶつかり合わないから弾きやすい」とのこと。ピアノ2台の調整もピッタリ、ホールの響きとも相性が良く、そこに姉妹ならではの阿吽の呼吸が重なり、隣同士で合わせる連弾にも負けない一体感を生み出していました。
そして後半は、ストラヴィンスキーのバレエ音楽『春の祭典』を2台ピアノで。
前半のファンタジックな世界観から一転、斬新な響きや複雑なリズムにあふれた刺激的な音楽をお届けしました。
慈しみや憎しみなどを伴ってめまぐるしく展開するシーン、不穏な不協和音の連続、低音の蠢きと高音の金属的な響きが胸をざわつかせます。ピアノの打楽器的性質をふんだんに活かしたテクニックと驚異的な集中力で、たった2人の演奏者で創りだしているとは思えない壮大で複雑な世界を魅せてくれました。
アンコールには、再びチャイコフスキーのバレエ音楽に戻り、『白鳥の湖』『眠れる森の美女』から小品を数曲演奏。
ピアノという楽器の雄弁さと、世界的ピアニストの凄さに圧倒される、まさに「ピアノ・デュオの真骨頂」と呼ぶにふさわしいコンサートとなりました。
ご来場いただきましたみなさま、このレポートを読んでいただきましたみなさま、ありがとうございました。
■公演の様子は、小中学生の「こがねいジュニア特派員」もレポートしてくれています。こちらもぜひご覧ください。
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.17】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.18】
(公演写真:友澤綾乃)
本日のアンコール曲目は以下の通りです。
・チャイコフスキー(ランゲリ編):『白鳥の湖』より「4羽の白鳥の踊り」
・チャイコフスキー(ドビュッシー編):『白鳥の湖』より「ナポリの踊り」
・チャイコフスキー(ラフマニノフ編):『眠れる森の美女』より「ワルツ」
ご来場ありがとうございました。