残暑厳しい9月3日、涼しい大ホールで「シネマ歌舞伎 上映会」を開催しました。
迫力のスクリーンとサウンドで気軽に楽しめる、シネマ歌舞伎。
今回は、落語を題材にした抱腹絶倒の「らくだ」と、能の演目を題材にした豪華絢爛な「連獅子」をお届けしました。
1本目は「らくだ」
今は亡き、十八世 中村勘三郎演じる「紙屑買久六」と、十世 坂東三津五郎演じる「手斧目半次」の滑稽でリズミカルなやりとりが、会場の笑いを誘います。ハプニングさえアドリブにしてしまう、サービス精神旺盛な芸達者ぶりに、懐かしさと淋しさを覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。ふぐの毒にあたって急死した「駱駝の馬太郎」を演じた片岡亀蔵にも大きな拍手と笑いが送られていました。
休憩をはさんで2本目は「連獅子」
親獅子を中村勘三郎、仔獅子を息子の中村勘九郎、七之助という実の親子が演じた舞台を、日本映画界の名匠 山田洋次監督が映画化したもの。アップの映像では表情や指先の所作まではっきりと、ヒキの映像では獅子たちのフォーメーションの美しさまで生き生きと見てとることができました。また、親から子にバトンタッチするようなカメラワークや、子を見つめる親、親を見つめる子の視線にフォーカスしたショットなど、どの一瞬を切り取っても心を打つ美しさがあり、シネマ歌舞伎ならではの良さを堪能することができました。
「シネマ歌舞伎」は今年度展開している『にっぽん、体感。―古典芸能の祭典』シリーズの初回公演でした。ロビーでは、本シリーズ共通の来場者特典企画を実施。友の会年会費無料、主催公演で使えるカフェチケット、出演者サイン色紙、和イラストの雑貨など(特典は公演により異なります)が抽選で当たる企画に多くのご応募があり、上映の合間も大変賑わいました。ぜひこの機会に、古典芸能公演へご来場いただき、来場者特典企画へもご参加ください。
詳しくはこちら→【にっぽん、体感。―古典芸能の祭典】
ご来場いただきましたみなさま、このレポートを読んでいただきましたみなさま、ありがとうございました。
■公演の様子は、小中学生の「こがねいジュニア特派員」もレポートしてくれています。こちらもぜひご覧ください。
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.7】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.8】
監督:山田洋次
中村勘三郎、中村勘九郎、中村七之助、片岡亀蔵、坂東彌十郎
2007年10月上演/新橋演舞場(55分)
親獅子がわが子を谷底へ突き落とし、自力で登ってきた仔獅子だけを育てるという、故実を元にした人気舞踊演目のひとつ。親獅子を中村勘三郎、仔獅子を息子の中村勘九郎、七之助が演じた舞台を、山田洋次監督がシネマ歌舞伎化。
シネマ歌舞伎史上初となる、舞台上に設置したカメラで舞台稽古を撮影した、迫力ある映像が見どころ。
クライマックスでは実の親子による一糸乱れぬ豪快な毛振りが必見です。
中村勘三郎、坂東彌十郎、片岡亀蔵、尾上松也、片岡市蔵、坂東三津五郎
2008年8月上演/歌舞伎座(52分)
ふぐの毒に当たって急死した通称“らくだ”の馬太郎の通夜をしようと、仲間の半次が、紙屑買いの久六を家主のもとに使いに出します。
酒で豹変し、立場が逆転する笑いあふれる傑作古典落語が題材の演目を、勘三郎の久六と三津五郎の半次のコンビで演じた舞台です。