
【イベントレビュー】日本フィル ひらけ!音楽の玉手箱 ~クラシック音楽の世界へようこそ~
日ごとに春めく3月中旬。日本フィルハーモニー交響楽団弦楽アンサンブルの皆さんとホルン、クラリネットのソリストによる親しみやすいクラシックコンサートを開催しました。
第1部は「クラシックの名曲をたっぷり」と題し、モーツァルトの《フィガロの結婚》序曲でスタート。アンダーソンの「プリンク・プレンク・プランク」では弓を使わずに指で弦を弾くピチカート奏法だけのユニークな演奏で会場は大いに盛り上がりました。
「キラキラとした舞踏会のようでしたね」「ネズミみたいな音がしましたね」といった、ナビゲーターの江原陽子さんの親しみやすい解説も加わり、観客の想像力をかきたてます。続いて、マスカーニの《カヴァレリア・ルスティカーナ》間奏曲、ホルストのセントポール組曲より「ジグ」と、叙情的で豊かな響きからエネルギッシュな演奏まで多彩な音色を楽しみました。
第2部は、弦楽器・金管楽器・木管楽器それぞれの魅力に迫るソロステージです。江原さんのナビゲートのもと、演奏者自身が楽器の特徴を紹介。
木野雅之さん(コンサート・マスター)のヴァイオリン解説に続き、チェロの門脇大樹さんが馬の尻尾の毛で作られている弓をフワフワと披露すると会場からは驚きの声も。ホルンの信末碩才さんは楽器の愛らしい形と音色の魅力を語り、クラリネットの照沼夢輝さんは曲に合わせて楽器を分解していくユニークなパフォーマンスで会場を沸かせます。


第3部では、ヴィヴァルディの名曲《四季》ハイライトを演奏。瑞々しく引き締まった弦楽アンサンブルの響きがホールいっぱいに広がります。さらに木野さんによる超絶技巧のヴァイオリン・ソロが観客を魅了。
「秋」では“タリラリラン”という軽やかなフレーズに合わせて、手を繋いでリズムを取る親子の微笑ましい姿も。最後は演奏に合わせて会場全体が拍手で一体となり、温かな空気の中、幕を閉じました。
演奏終了後、お客様からは「オーケストラにも引けを取らない素敵な音色に感動しました」「未就学児が聴けるコンサートが少ないので、子どもたちと一緒に聴くことができてよかった」「一曲一曲が短く、子どもたちも楽しんで聴くことができました」などのお声をいただきました。
ご来場いただきましたみなさま、レビューをお読みいただいたみなさま、ありがとうございました。
■公演の様子は、小学生の「こがねいジュニア特派員」もレポートしてくれています。こちらもぜひご覧ください。
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.28】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.29】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.30】
(公演写真:藤本史昭)
本日のアンコール曲目
本日のアンコール曲目は、以下の通りです。
♪ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲
ご来場ありがとうございました。
日本フィルハーモニー交響楽団 木野雅之&信末碩才 インタビュー
心ときめく名曲や、楽器のヒミツをナビゲート付きでお贈りする「ひらけ!音楽の玉手箱~クラシック音楽の世界へようこそ~」。
大人から子どもまで幅広い世代にお楽しみいただけるコンサートに向けて、ソロ・コンサートマスター木野雅之(きのまさゆき)さんと首席ホルン奏者信末碩才(のぶすえせきとし)さんに、クラシック音楽の楽しさについてうかがいました。
◆生の音は刺激的!クラシック音楽の醍醐味はライブ
――クラシック音楽コンサートの楽しみ方を教えてください。
木野「生の音の素晴らしさを味わっていただきたいです。弦楽器は、弓で弦をこすって音が出る。管楽器は息を吹き込んで音を出す。そんな体の運動で音を出している様子を間近で見て、「あんなことができるんだ!」と新しい発見をしていただけると嬉しいですね」
信末「僕が魅力を感じたきっかけは吹奏楽の「キラキラしたかっこいい音」でしたが、今回の演奏会は弦楽器が中心なので「きれいな音」を楽しんでいただけるかと。音で心が洗われるような感覚を味わってもらえたら嬉しいです」
――クラシック音楽の面白さ、醍醐味とは?
木野「ポップスとの大きな違いは、基本的にはマイクを通さないこと。生音を、人間の技で聴かせることができるのがクラシック音楽の醍醐味です。そして、アンサンブルの調和。みんなで息を合わせてひとつのものを作る面白さです。音と音が重なり合うと素敵な音になるんですよ」
信末「クラシック音楽を聴くと、メンタルにとてもいい影響があると思っています。僕はバッハが好きで、疲れているときはバッハのはつらつとした作品を聴いて元気になることが結構あるんですよ。演奏する醍醐味は、ライブだということ。生の音なのでごまかしが効かない分、刺激的。毎回ジェットコースターみたいなドキドキワクワクする感じで演奏しています」
――ご自身の楽器の自慢できるところ、大変なところを教えてください。
木野「ヴァイオリンは非常に古い楽器で、私の楽器も来年で250歳。古いのでメンテナンスが大変です。暑さに弱く、夏は楽器のためにクーラーをつけっ放し。自分の体以上に楽器に神経を使いますね。また楽器を携えられるので、どこへ行くときも一緒なのがヴァイオリンのいいところです」
信末「ホルンは、形がかわいい。楽器を持っていろいろなポーズが取れるので写真映えしますよ。そして、音の良さ。なので作曲家は、オーケストラの中で首席ホルンにたくさんのソロを書いてくれています。難しい点は、ベルを後ろに向けて吹くこと。音が、後ろの壁に当たってからホール全体に伝わるので、遅延が発生しやすい。そのため少し早めに音を出す必要があるので、慣れるまで苦労するかもしれません」
――ご自身の楽器以外で演奏したい楽器はありますか?
木野「フルートですね。実は中学の時、フルートを吹いていたことがあるんです。ヴァイオリンと音域が近く、ヴァイオリン同様、楽器を携えて旅ができるのがいいですね。ギターも好きで、弾いていたことがあります。やっぱり持ち歩ける楽器が好きなのかもしれないですね」
信末「チェロです。弦楽器が奏でるレガート(音と音の間を途切れさせずなめらかに演奏する方法)にホルンは太刀打ちできません。音と音の境目を、指を滑らせて響きで埋めながら歌える弦楽器が、本当にうらやましい。その弦楽器の中でホルンと音域的にも役割的にも近く、かつ音色が一番好きなのがチェロ。弾いている姿もかっこいいですよね」
◆さまざまな名曲を美味しく楽しむプログラム
――今回の演奏会でソロを弾く曲について、聴きどころを教えてください。
木野「《四季》は詩に合わせて曲が書かれています。詩の情景や音楽から伝わる空気をぜひ味わっていただきたいです。と同時に、「今年の春はこんなだったなあ」とか、みなさんの季節ごとの思い出や体験が音とつながったら嬉しいです」
信末「僕は「木星」を演奏します。みなさんご存じのメロディを、ぜひお楽しみに! でも「木星」には、ほかにも素敵なメロディがいっぱいあるんですよ。今回はハイライト版で演奏するので、いろいろなシーンを楽しんでいただきたいです」
――最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。
木野「ヨーロッパ、アメリカのいろいろな作品をご用意しています。音楽を通して世界中を一緒に旅することができたら、とても嬉しいです」
信末「たくさんの種類の料理を少しずつ食べるのって楽しいですよね。それと同じで、短い曲をたくさん聴くのはすごく楽しいですよ。そんなプログラムの演奏会です。きっとご満足いただけると思いますので、ぜひいらしてください」
2025年10月30日(木)
インタビュー:榊原律子

日ごとに春めく3月中旬。日本フィルハーモニー交響楽団弦楽アンサンブルの皆さんとホルン、クラリネットのソリストによる親しみやすいクラシックコンサートを開催しました。
第1部は「クラシックの名曲をたっぷり」と題し、モーツァルトの《フィガロの結婚》序曲でスタート。アンダーソンの「プリンク・プレンク・プランク」では弓を使わずに指で弦を弾くピチカート奏法だけのユニークな演奏で会場は大いに盛り上がりました。
「キラキラとした舞踏会のようでしたね」「ネズミみたいな音がしましたね」といった、ナビゲーターの江原陽子さんの親しみやすい解説も加わり、観客の想像力をかきたてます。続いて、マスカーニの《カヴァレリア・ルスティカーナ》間奏曲、ホルストのセントポール組曲より「ジグ」と、叙情的で豊かな響きからエネルギッシュな演奏まで多彩な音色を楽しみました。
第2部は、弦楽器・金管楽器・木管楽器それぞれの魅力に迫るソロステージです。江原さんのナビゲートのもと、演奏者自身が楽器の特徴を紹介。
木野雅之さん(コンサート・マスター)のヴァイオリン解説に続き、チェロの門脇大樹さんが馬の尻尾の毛で作られている弓をフワフワと披露すると会場からは驚きの声も。ホルンの信末碩才さんは楽器の愛らしい形と音色の魅力を語り、クラリネットの照沼夢輝さんは曲に合わせて楽器を分解していくユニークなパフォーマンスで会場を沸かせます。


第3部では、ヴィヴァルディの名曲《四季》ハイライトを演奏。瑞々しく引き締まった弦楽アンサンブルの響きがホールいっぱいに広がります。さらに木野さんによる超絶技巧のヴァイオリン・ソロが観客を魅了。
「秋」では“タリラリラン”という軽やかなフレーズに合わせて、手を繋いでリズムを取る親子の微笑ましい姿も。最後は演奏に合わせて会場全体が拍手で一体となり、温かな空気の中、幕を閉じました。
演奏終了後、お客様からは「オーケストラにも引けを取らない素敵な音色に感動しました」「未就学児が聴けるコンサートが少ないので、子どもたちと一緒に聴くことができてよかった」「一曲一曲が短く、子どもたちも楽しんで聴くことができました」などのお声をいただきました。
ご来場いただきましたみなさま、レビューをお読みいただいたみなさま、ありがとうございました。
■公演の様子は、小学生の「こがねいジュニア特派員」もレポートしてくれています。こちらもぜひご覧ください。
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.28】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.29】
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.30】
(公演写真:藤本史昭)
本日のアンコール曲目は、以下の通りです。
♪ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲
ご来場ありがとうございました。
心ときめく名曲や、楽器のヒミツをナビゲート付きでお贈りする「ひらけ!音楽の玉手箱~クラシック音楽の世界へようこそ~」。
大人から子どもまで幅広い世代にお楽しみいただけるコンサートに向けて、ソロ・コンサートマスター木野雅之(きのまさゆき)さんと首席ホルン奏者信末碩才(のぶすえせきとし)さんに、クラシック音楽の楽しさについてうかがいました。
◆生の音は刺激的!クラシック音楽の醍醐味はライブ
――クラシック音楽コンサートの楽しみ方を教えてください。
木野「生の音の素晴らしさを味わっていただきたいです。弦楽器は、弓で弦をこすって音が出る。管楽器は息を吹き込んで音を出す。そんな体の運動で音を出している様子を間近で見て、「あんなことができるんだ!」と新しい発見をしていただけると嬉しいですね」
信末「僕が魅力を感じたきっかけは吹奏楽の「キラキラしたかっこいい音」でしたが、今回の演奏会は弦楽器が中心なので「きれいな音」を楽しんでいただけるかと。音で心が洗われるような感覚を味わってもらえたら嬉しいです」
――クラシック音楽の面白さ、醍醐味とは?
木野「ポップスとの大きな違いは、基本的にはマイクを通さないこと。生音を、人間の技で聴かせることができるのがクラシック音楽の醍醐味です。そして、アンサンブルの調和。みんなで息を合わせてひとつのものを作る面白さです。音と音が重なり合うと素敵な音になるんですよ」
信末「クラシック音楽を聴くと、メンタルにとてもいい影響があると思っています。僕はバッハが好きで、疲れているときはバッハのはつらつとした作品を聴いて元気になることが結構あるんですよ。演奏する醍醐味は、ライブだということ。生の音なのでごまかしが効かない分、刺激的。毎回ジェットコースターみたいなドキドキワクワクする感じで演奏しています」
――ご自身の楽器の自慢できるところ、大変なところを教えてください。
木野「ヴァイオリンは非常に古い楽器で、私の楽器も来年で250歳。古いのでメンテナンスが大変です。暑さに弱く、夏は楽器のためにクーラーをつけっ放し。自分の体以上に楽器に神経を使いますね。また楽器を携えられるので、どこへ行くときも一緒なのがヴァイオリンのいいところです」
信末「ホルンは、形がかわいい。楽器を持っていろいろなポーズが取れるので写真映えしますよ。そして、音の良さ。なので作曲家は、オーケストラの中で首席ホルンにたくさんのソロを書いてくれています。難しい点は、ベルを後ろに向けて吹くこと。音が、後ろの壁に当たってからホール全体に伝わるので、遅延が発生しやすい。そのため少し早めに音を出す必要があるので、慣れるまで苦労するかもしれません」
――ご自身の楽器以外で演奏したい楽器はありますか?
木野「フルートですね。実は中学の時、フルートを吹いていたことがあるんです。ヴァイオリンと音域が近く、ヴァイオリン同様、楽器を携えて旅ができるのがいいですね。ギターも好きで、弾いていたことがあります。やっぱり持ち歩ける楽器が好きなのかもしれないですね」
信末「チェロです。弦楽器が奏でるレガート(音と音の間を途切れさせずなめらかに演奏する方法)にホルンは太刀打ちできません。音と音の境目を、指を滑らせて響きで埋めながら歌える弦楽器が、本当にうらやましい。その弦楽器の中でホルンと音域的にも役割的にも近く、かつ音色が一番好きなのがチェロ。弾いている姿もかっこいいですよね」
◆さまざまな名曲を美味しく楽しむプログラム
――今回の演奏会でソロを弾く曲について、聴きどころを教えてください。
木野「《四季》は詩に合わせて曲が書かれています。詩の情景や音楽から伝わる空気をぜひ味わっていただきたいです。と同時に、「今年の春はこんなだったなあ」とか、みなさんの季節ごとの思い出や体験が音とつながったら嬉しいです」
信末「僕は「木星」を演奏します。みなさんご存じのメロディを、ぜひお楽しみに! でも「木星」には、ほかにも素敵なメロディがいっぱいあるんですよ。今回はハイライト版で演奏するので、いろいろなシーンを楽しんでいただきたいです」
――最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。
木野「ヨーロッパ、アメリカのいろいろな作品をご用意しています。音楽を通して世界中を一緒に旅することができたら、とても嬉しいです」
信末「たくさんの種類の料理を少しずつ食べるのって楽しいですよね。それと同じで、短い曲をたくさん聴くのはすごく楽しいですよ。そんなプログラムの演奏会です。きっとご満足いただけると思いますので、ぜひいらしてください」
2025年10月30日(木)
インタビュー:榊原律子