お天気にも恵まれ、満員御礼で開催したバリアフリー・ミニコンサート。
このコンサートは、通常の公演を鑑賞することが難しい方々、例えば段差のある席への移動が困難な方や、育児や介護などで長時間家を空けることが難しい方々にも、気軽に本格的な音楽を楽しんでいただきたいという思いから企画されました。会場には車椅子の利用が可能なスペースが設けられ、スムーズに出入りできるよう誘導サポートも行われました。
出演者は同じ日の午後に催される「ユナイテッド・ユーロ ブラス・クインテット」のメンバーであるラインホルト・フリードリッヒさん(トランペット)、イェルーン・ベルワルツさん(トランペット)、ラッセ・マウリッツェンさん(ホルン)、トーマス・ロイスランドさん(テューバ)。
そして、ピアニストの竹沢絵里子さんです。
初めにラインホルトさんと、彼の公私のパートナーである竹沢さんが登場し、2人の温かい人柄があふれるトークで会場を和ませました。その後、ゲディケの「コンサート・エチュード」を見事に息の合った演奏で披露し、客席からは笑顔が溢れました。
続いて、ベルワルツさんがシャルリエの「エチュード」とロジャースの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を演奏し、耳に心地よい優しい音色が会場に響き渡りました。ラッセさんはホルンでサン=サーンスの「ロマンス Op.67」を美しく奏で、トーマスさんはテューバでチャールダッシュを演奏し、そのエネルギッシュなパフォーマンスと華麗な指さばきで観客を魅了しました。
再びラインホルトさんが登場し、マーラーの「ブルミーネ」を演奏。トランペットのゆったりとした澄んだ旋律が静かに語りかけてくるようでした。
各演奏前には、ラインホルトさんがメンバーの出身地にちなんだ曲紹介があり、欧州の国々に想いを馳せながら素晴らしい演奏を楽しみました。
竹沢さんは、すべての曲でピアノ伴奏の絶妙なかけ合わせを見せ、ソロではドビュッシーの「月の光」やショパンの「幻想即興曲 Op.66」で美しい音色を披露しました。
コンサートの最後には、ラインホルトさんの「皆さんの心が喜びに満ちますように」という言葉と共に、ルービンシュタインの「お別れ」が演奏され、世界的に活躍する金管奏者たちの名演奏と、出演者の温かい人柄を間近に感じられる心地よいひとときとなりました。
お客様からは「固くなりすぎず親しみある雰囲気で素敵な公演でした」「近くで聞けてよかった。1Fのホールは入りやすくて便利と思いました」「率先して声をかけていただけました。車イスの同伴でしたのでとても助かりました」などのお声をいただきました。
ご来場いただきましたみなさま、このレポートを読んでいただきましたみなさま、ありがとうございました。
(公演写真:藤本史昭)
コンサート・エチュード ゲディケ
エチュード シャルリエ
マイ・ファニー・ヴァレンタイン ロジャース
⽉の光 ドビュッシー
ロマンス Op.67 サン=サーンス
ブルミーネ マーラー
幻想即興曲 Op.66 ショパン
チャルダーシュ モンティ
お別れ ルービンシュタイン