春の気配を徐々に感じ始めた2月の後半。
日本のバンドネオン界の第一人者・小松亮太と、国内外で活躍するバンドネオン奏者たちのコンサートが開催されました。
「早々に満員御礼になったということで燃えてまいりました!」と小松さんの第一声からスタート。ガルデルの美しいナンバー《想いの届く日》から披露。
続く《グスコーブドリの伝記》《風の詩~THE世界遺産》は、ともに小松さんの作曲によるもの。
懐かしさと優しい癒しを感じる音色に胸が熱くなります。
小松さんが「バンドネオンをもっと世に広めたいという想いから出来た」と語ったアルバム、『コラソン・デ・アニソン』から「マジンガーZメドレー」を選曲。タンゴでアレンジしたアニメソングは大人も楽しめる新しいナンバーとして、とても身近に感じられました。
続いて小松さんが3人のバンドネオン奏者の紹介を挟みながら、お一人ずつ演奏。
鈴木崇朗さんはTVドラマ《家売るオンナ〜》で演奏したテーマ曲を、北村 聡さんは大河ドラマ《八重の桜〜》で演奏した曲を、早川 純さんは《ランバダ》を魅力たっぷりに奏でます。ギターの福井浩気さんとコントラバスの田中伸司さんも加わり、ポピュラーなバンドネオンの世界も体感することができました。
ここからはタンゴの名曲を披露するとともにタンゴの音楽を解説するレクチャーを。客席も興味津々に耳を傾けます。タンゴへの理解が深まった後、前半の最後はフランシスコ・デ・カロ《黒い花》の四重奏。優しく寄り添うような音色が会場を包み込みました。
休憩を挟んでの後半は小松さんがバンドネオンの特徴を解説。それぞれの出演者が持っているバンドネオンを一つ一つ丁寧に見せていただき、いろんな種類のバンドネオンがあることに驚きました。
そして、今回の目玉である四重奏へ。バンドネオン4台での公演は、ご本人も過去に1度しか実施されていないそう!曲はアレクサンダー《ドイツマイスター連隊マーチ》とJ.S.バッハ《小フーガ ト短調》、そしてダメス《ナーダ》。重厚で美しい音色に心が震えました。
後半のクライマックスはピアソラ!バンドネオン・ソロ・メドレーではギュッと詰め込んだ濃密なメドレーに会場も沸きます。《バンドネオン協奏曲 第一楽章》では小松さんとギター&コントラバスの3人が躍動的で圧倒的な音色を響かせ、最後はピアソラが父親のレクイエムとして書いた代表曲《アディオス・ノニーノ》を演奏。情感のこもった心に響く演奏が満席の会場に響き渡りました。
アンコールには、アルゼンチン・タンゴを代表する名曲、ヘラルド・マトス・ロドリゲスの『ラ・クンパルシータ』で最高の盛り上がりの中、幕を閉じました。
終演後には「バンドネオンの理解が深まりました」「バンドネオン四重奏すばらしかった」などのお声をいただきました。
ご来場いただきましたみなさま、このレポートを読んでいただきましたみなさま、ありがとうございました。
■公演の様子は、小中学生の「こがねいジュニア特派員」もレポートしてくれています。こちらもぜひご覧ください。
【こがねいジュニア特派員 イベントレポート vol.31】
(公演写真:友澤綾乃)
◆1st Set◆
M1.ガルデル:想いのとどく⽇
M2.⼩松亮太:グスコーブドリの伝記
M3.⼩松亮太:⾵の詩〜THE世界遺産
M4.渡辺宙明(⼩松亮太編曲):マジンガーZメドレー
M5.家売るオンナ
〜⼋重の桜
〜ランバダ
M6.トロイロ:ア・ラ・グアルディア・ヌエバ
M7.ピアナ:1900年代のミロンガ
M8.サルガン:ある⼥性へ(A una mujer)
M9.プラサ:ダンサリン
M10.フランシスコ・デ・カロ:⿊い花
◆2st Set◆
M11.ドイツマイスター連隊マーチ
M12.バッハ:⼩フーガ ト短調
M13.ダメス:ナーダ
M14.バンドネオン・ソロ・メドレー(4曲ともピアソラ)
プレリュード・トゥ・ザ・サイクルカル・ナイト
ペドロとペドロ
オブリビオン
リベルタンゴ
M15.ピアソラ:バンドネオン協奏曲 第⼀楽章
M16.ピアソラ:アディオス・ノニーノ
《アンコール》
ヘラルド・マトス・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ