小金井 宮地楽器ホール

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【イベントレビュー】宮田 大&福間洸太朗 DUOコンサート

「150年前の1873年4月1日に生まれたラフマニノフさん、聴こえましたか?」

チェリスト宮田 大さんとピアニスト福間洸太朗さんによる飛ぶ鳥落とす勢いの人気者の競演、そして、生誕150年記念のオール・ラフマニノフ・プログラム、ということで、早々に完売した公演の様子をお伝えします。

「パガニーニの主題による狂詩曲(ラプソディ)」より第18変奏から幕開け。
“カンタービレ”=歌うように、の指示記号の通り、チェロとピアノの甘く美しく表情豊かな調べが、金曜の夜のホールを優しく包み込みました。

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その後も、ラフマニノフらしい歌心を堪能できる、歌曲の編曲版3曲をお届け。
演奏の合間のトークも歌うようにリズミカルで優しい語り口調で、演奏への期待感を高めます。

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まずは様々な楽器のための編曲版が作られている、大変人気の高い「ヴォカリーズ」。
チェロがふくよかで伸びのある音色で切々と旋律を紡ぎだすと、それをピアノの響きが包み込み、支えます。

続く「リラの花」「春の流れ」は、ともにチェリスト伊藤悠貴さんの編曲によるもの。
ロシアの長く厳しい冬を超えて春を告げる花を見つけた時の喜びや、雪解けの水が勢いよく流れる自然の風景が、高音のきらめきや民謡風の可憐なメロディ、スケールの大きい流れるようなパッセージで描かれ、まるですぐそこにあるように感じられる演奏でした。

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そして前半の最後は、「ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調」。
ラフマニノフの音楽には欠かせない「鐘」をイメージさせるハーモニクスなど、全体的に複雑で音数の多い重厚な曲でありながら、1つ1つの音の粒の美しさも際立つ福間さんの演奏で、3つの楽章、20分にわたる大曲にもかかわらず、会場の集中力も途切れることなく、惹きつけられていました。

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後半はこれまた大曲の「チェロ・ソナタ ト短調」を。
ラフマニノフの真髄ともいえる、魂の叫びのような短調を根底に、時折ふと出てくる救いの光のような多幸感に溢れた長調の響き。その魅力が、ときにディスカッションのように激しくぶつかり合い、ときに慰めあうように優しく共鳴するデュオによって、一層の説得力を持って迫ってきます。チェロの音色は人間の泣き声のようにも感じられ、怒りに満ちた動のむせび泣きから、さめざめした静の泣きまで、表現豊かな演奏が胸に突き刺さりました。終演すると、壮大な映画を見終わったような充足感に、満席の客席から割れんばかりの拍手が送られました。

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アンコールでは、「歌」からのつながりでオペラの名曲を2曲、ヘンデルの「オン・ブラ・マイ・フ」とプッチーニの「誰も寝てはならぬ」を披露。
歌心たっぷりに、しかし器楽ならではの味わいを感じさせる演奏で、最後の1音までチェロ、ピアノ、そしてホールの響きを堪能し尽くすコンサートとなりました。

現代の日本の若い演奏家が深い愛情を持って演奏し、満席のお客様がそれに聴き入り、感動を共有したということが、ラフマニノフさんにも伝わっていますように…。そう願わずにはいられないような素晴らしい瞬間でした。

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ご来場いただきましたみなさま、このレポートを読んでいただきましたみなさま、ありがとうございました。

(公演写真:藤本史昭)

【アンコール曲目】

ヘンデル: オンブラ・マイ・フ
(オペラ 《セルセ》 より)


プッチーニ: 誰も寝てはならぬ
(オペラ 《トゥーランドット》 より)

ご来場ありがとうございました。

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